動物 しっぽニュース
認定NPO法人HOKKAIDOしっぽの会

2019年10月20日

猫の珍行動に困る飼い主が意外と知らない真実


Yahoo! JAPAN



人の心を見透かしているようでもあり、まったくわかっていないようでもあり……。
飼い主が困る猫の行動には何かワケがあるのでしょうか。ベストセラー『ざんねんないきもの事典』シリーズ、『わけあって絶滅しました』の監修者としても知られる動物学者の今泉忠明氏が、解剖学、動物行動学の知見を駆使して、猫脳の謎に迫った『猫脳がわかる!』から、一部を抜粋してお届けします。

■強烈にくさい、猫のオシッコ

 一定の場所で排泄をする猫の習性をありがたく思っている飼い主は多いことでしょう。それくらい、猫のオシッコは強烈な臭いを放っているのです。

 猫と暮らす中で、されるといちばんダメージが強いのが、オシッコの粗相なのかもしれません。とくに困るのが布団の上にされるオシッコ。買ったばかりの羽毛布団にされたら一巻の終わり。1度ついたニオイは、人にはわからないレベルでも嗅覚の優れた猫にはすべてお見通しなので、「ここは自分のニオイがついているからオシッコしていい場所」と認識し、何度も繰り返すことに。

 2度と粗相されたくなかったら、1度でもニオイが付いた羽毛布団は、いくら高級でも廃棄せざるをえないのです。布団は高級素材を使えない、コレ、「猫飼いあるある」でしょうか。

 猫が布団にオシッコをする理由としては、ふかふかした感触がトイレ砂に似ている、オシッコが染み込むので足が濡れない、暖かくて気持ちいいから尿意を催す、などが考えられます。

 この猫のオシッコのニオイ、迷惑千万なのは飼い主のみならず、猫嫌いの要因の1つになっているようですね。庭にノラ猫が入ってきて、強烈な臭いのオシッコをされたら、そりゃあ、悲しいでしょう。ついカッときてしまうのも無理はないですね。

 猫がトイレ以外でオシッコするときには、必ず何らかの理由があるといわれます。とくにニオイが強烈な場合は、マーキングの意味がほとんどを占めます。

 マーキングとは、自分のニオイを付けて縄張りを主張する行動。オシッコ以外にも、身体や頬をこすり付ける、爪とぎをする、などがあります。オシッコのマーキングのことをスプレーといい、去勢していないオスによく見られますが、去勢手術をしているオスでも、避妊手術をしているメスでも見られます。

■オシッコの粗相、その原因は? 

 10年ほど前に、スプレーの強烈な臭いの成分を、岩手大学と理化学研究所が突き止めたことが話題に上りました。猫のオシッコの臭いの元は、フェリニンというアミノ酸の一種で、コーキシンというタンパク質が、フェリニンの生成を促していることが判明したのです。


何でもチェックする猫の好奇心の強さからネーミングされたというこの物質、猫の性フェロモンと関連があり、去勢手術をしていないオスだと、メスの約4倍の量がオシッコに含まれているとか。この臭いのメカニズムを突き止めたことで、その後、消臭剤などの製品開発に生かされているとのことですから、飼い主にとっても、必要以上に嫌われないという意味では、猫にとっても意義のある研究だったと思います。

 でもこのスプレー行動、猫なりの理由がありますから、やみくもに敵視しないでいただきたいものです。先に説明しましたが、マーキング行動であるなら、縄張りに不安が生じている表れです。猫は縄張りに異変を感じると、自分の縄張りを強く主張するために、強い臭いを残そうとするからです。飼い主としては、愛猫の縄張りに何か問題はないか、突き止めて解決策を講じたいものです。

 飼い猫で、すでに去勢避妊手術をしているなら、考えられる粗相の原因は、次のようなものでしょう。

・同居猫で相性の悪い猫がいる
・ノラ猫の姿を家の中からよく見かける
・引っ越しや模様替えなど生活環境の変化があった
・トイレの場所が気に入らない、またはトイレが汚い
・刺激が足りずに欲求不満だ
・特定の場所やモノを間違ってトイレと覚えてしまっている
・嫌なニオイがあり、それを消すために上書きしている
 結構多いですね。それだけ、猫の心模様は、繊細なのです。

 オシッコの粗相以外でも、家具に爪とぎをされる、棚にあるものを落とされる、生ゴミを荒らされるなど、共に暮らすうえで猫にしてほしくない行動はあるでしょう。しかし、猫は犬ほど飼い主への依存度が高くなく、犬のようにしつけで行動を制限することが難しい傾向にあります。では、どうしたら困った行動をやめさせられるのでしょうか。

 今一度、猫の困った行動をリストアップしてみましょう。家具にする爪とぎ、棚に上ってものを落とすなどから、興奮して人をかんだり引っかいたりすることまで、よくよく考えてみると、これらはすべて猫の習性なんですね。


■猫のイタズラは環境整備で予防して

 動物の習性は、言わずもがな、生まれつき身に付いている行動の形のようなものですから、抑えてしまうと、本来の動物らしさ、猫らしさが失われてしまいます。本来の習性による行動が思い切りできないと、ストレスがたまり、余計に問題行動へと走ってしまう危険もあります。

 とはいえ、習性をそのまま好き放題にやらせてしまうと人が困ることになるわけですよね。だとしたら、習性の発散方法を一工夫すればいいのです。指示しつけが難しい猫に必要なのは、いわば環境整備です。

 例えば、家具に爪とぎをしてほしくないなら、その場所をブロックすると同時に、ほかに爪とぎしてもいい場所をたくさん作って、思い切りやらせてあげましょう。そして爪とぎされたくない場所をブロックする際、ポイントは、猫自らの意思で「その場所では爪とぎしない」と判断させることです。

 飼い主がダメダメなどと追い払ったり、怒ったりしていると、飼い主を嫌なことと記憶して、信頼関係が崩れる可能性があるからです。猫脳は記憶力に優れ、とくに嫌なことを覚えやすく、1度覚えると長い間忘れないという特徴があります。

 基本的に猫は自由を好み、押さえつけられることを嫌う動物です。人が猫と暮らすうえで忘れてはならないのは、猫のペースを尊重し、人が困らない方向へ猫の行動を自然と導けるように環境を整えることなのです。

今泉 忠明 :哺乳動物学者、「ねこの博物館」館長


posted by しっぽ@にゅうす at 09:09 | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。