動物 しっぽニュース
認定NPO法人HOKKAIDOしっぽの会

2019年11月08日

猫の「乳がん」はどんな病気?発生年齢・ステージ…家族が知っておくべきこと


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猫の「乳がん」について、正しい知識を得ることからはじめよう
 “乳がんで苦しむ猫をゼロにする!”を目標に、JVCOG(一般社団法人日本獣医がん臨床研究グループ)の獣医師さんらが立ち上げた「キャットリボン運動」。

この運動の発起人であり、JVCOG代表理事の獣医師・小林哲也先生は、「猫の乳がんはお家で見つける病気です」とおっしゃっています。愛猫を乳がんから守るためにも、まずはわたしたち飼い主が、「乳がん」についての正しい知識を得ることが大切なのですね。
そこで小林哲也先生に、「猫の乳がん」について詳しく教えていただきました。

■お話をお伺いした先生
小林 哲也先生
公益財団法人 日本小動物医療センター付属 日本小動物がんセンター センター長
米国獣医内科学専門医(腫瘍学)
アジア獣医内科学専門医(小動物)

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猫の「乳がん」はどんな病気?発生年齢・ステージ…家族が知っておくべきこと
乳腺はお乳を分泌する組織で、猫には左右に4つずつ、計8つの乳腺があります。
乳がんは「乳腺(にゅうせん)」にできる「悪性腫瘍(しゅよう)」です
いきなりですが、「乳がん」は猫の体のどこに発症する病気なのでしょうか。 乳がんについてしっかり理解するため、基本から小林先生にお聞きしました。

「乳がんとは、乳腺(にゅうせん)にできてしまう悪性の腫瘍(しゅよう)です。乳腺はお乳を分泌する組織で、猫には左右に4つずつ、計8つの乳腺があります。多くの方に知っていただきたいのは、猫の乳腺に「しこり(腫瘍)」ができたとき、その約80%が悪性であるということです」(小林先生)

犬の場合、乳腺にしこりができても、これほど悪性の確率は高くないのだそうです。
でも猫の場合は下のグラフの通り、ほとんどが“乳腺がん(乳がん)”です。80%というのは、とても高く怖い数字ですよね。

病気でなくなる猫の約1/3が「がん」という報告もあり、「乳腺がん(乳がん)」は「リンパ腫(しゅ)」「肥満細胞腫(ひまんさいぼうしゅ)」と並んで、猫に発生する悪性腫瘍トップ3の1つ。
また、乳がんに次いで2番目に多い、「乳腺過形成(にゅうせんかけいせい)・乳管(にゅうかん)の拡張」も、将来的にがんになる可能性があるので、注意しなければならないそうです。


悪性腫瘍(がん)は転移したり、がんの周りの組織を破壊する病気
「乳がんは悪性の腫瘍」ということがわかりましたが、そもそも“がん”と“腫瘍”は違うのでしょうか?  また、“悪性”とは、何がどう“悪”なのかも気になります。

「腫瘍は、細胞が異常に増えて、かたまりになったもののことです。 “悪性”と“良性”があり、がんは腫瘍のなかの悪性のもののことです。悪性と良性は、下記のような違いを持っています」(小林先生)

猫の「乳がん」はどんな病気?発生年齢・ステージ…家族が知っておくべきこと
良性腫瘍 vs. 悪性腫瘍
■良性腫瘍 vs. 悪性腫瘍
表の“破壊性”とは、正常な組織を破壊しながら体をむしばむ性質のこと。“腫瘍死”とは、体全体が腫瘍に侵されて死に至ってしまうことだそうです。
悪性の腫瘍、つまり“がん”は、このような危険な性質が強いものなのですね。

ある調査によると、「良性の腫瘍もやがてはがんになる」と思っている人が20.5%、逆に「良性腫瘍は絶対にがんにはならない」と思っている人も23.6%いたとか。
実は私も「“良性”腫瘍は、がんにはならない」と思っていたのですが、これはどちらが正しいのでしょう? 

「実は両方とも間違いです。良性の腫瘍はがんにならないケースが多いですが、全てではありません。実際に良性が悪性に変化したケースが報告されています。見つかった腫瘍が良性でも安心せず、しっかり治療することが大切です」(小林先生)

なるほど、良性腫瘍だからと言って油断は禁物なのですね。

猫の「乳がん」はどんな病気?発生年齢・ステージ…家族が知っておくべきこと
猫のリラックス
乳がんの発症が最も多いのは「12歳前後のメスの猫」
飼い主として気になるのは、どういう猫に乳がんが多いのかということ。愛猫のリスクはどのくらいなのか、とても心配になります。

「猫の乳がんのリスクが高くなるのは、10歳〜12歳の時期です。一般的に中~高齢になってから発生することが多く、最も多いのが12歳齢前後です。ただし、若い猫でも発症する場合はありますし、もちろん一生乳がんにならない猫もいます。また、乳がんになる猫の99.9%はメス猫ですが、ごく稀にオスの猫でも発症することがあります」(小林先生)※出典:ノースラボ・データベース 2015より

猫の種類による偏りは、特には見られないそうです。ということは、オスも含めた全ての猫が、乳がんになる可能性があると言えるのですね。


1歳までに不妊手術をすると、発生率が低下する
下は不妊手術と乳がんの発生率の関係を示したものです。乳腺がんの発症はホルモンバランスと関係があると言われていて、生後6カ月以内に不妊手術をすると、乳がんの発生率が91%も低下。生後1歳までの不妊手術でも、発生率が86%低下することがわかっているのだそうです。

猫の「乳がん」はどんな病気?発生年齢・ステージ…家族が知っておくべきこと
不妊手術と乳がんの発生率の関係
乳がんは「2センチ以内」かどうかが分かれ目に!
1歳までの不妊手術に予防効果があることはわかっているものの、残念ながらそれ以外には乳がんを予防できる方法は、現在のところありません。

猫の「乳がん」はどんな病気?発生年齢・ステージ…家族が知っておくべきこと
4つのステージ
だからこそ、「早い時期の発見・治療が何より大切」
「猫の乳がんは、進行度合いで以下の4つのステージに分かれます。ステージが進むほど腫瘍は大きくなり、転移も起こりやすくなります。でも、ステージ1で発見できれば、根治できる可能性がぐっと高くなります」(小林先生)

猫の乳がんは同時に複数発症しやすく、33〜60%の割合で複数の乳腺にがんが確認されているのだそう。初診時にリンパ節に転移している確率も20〜40%と高く、その意味でも早期発見が重要なのだそうです。

ステージ1の目安は、『腫瘍の大きさが“2 センチ以内”』であること。
でも、初期の乳がんは痛みなどの症状がなく、猫の様子からは分からないといいます。そのため、病院に行った時には、既にステージ2や3になっているケースが多いのだとか。

猫の「乳がん」はどんな病気?発生年齢・ステージ…家族が知っておくべきこと
キャットリボン運動
もう少し早く病院に来ていたら…そのような悲しい後悔を抱える飼い主さんを、1人でも減らしたい
そこで、キャットリボン運動では、猫の乳がんを飼い主さんが家で見つけることができる“乳がんチェックマッサージ”の方法を提案しています。
次回、その乳がんチェックマッサージの方法と、チェックポイントを詳しくご紹介しますね。

猫に負担がなく、猫も飼い主さんも遊びながら楽しくできるマッサージとのこと。特にメスの猫ちゃんがいる方は、ぜひ一緒に覚えて実践してみませんか? 

監修/小林 哲也先生(公益財団法人 日本小動物医療センター付属 日本小動物がんセンター センター長、米国獣医内科学専門医(腫瘍学)、アジア獣医内科学専門医(小動物))
参考資料/「病院の言葉」を分かりやすくする提案(平成21年度版)、国立国語研究所 
文/かきの木のりみ(ライター)

ねこのきもちWeb編集室
posted by しっぽ@にゅうす at 08:41 | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする