動物 しっぽニュース
認定NPO法人HOKKAIDOしっぽの会

2019年11月10日

初めて飼う犬に「保護犬」を選んだ彼女の選択


Yahoo! JAPAN


「保護犬」や「保護猫」と聞くと、どんなイメージを思い浮かべるでしょうか。犬や猫を何匹も飼ったことがある人が迎え入れる動物、時間やお金に余裕がある人が迎え入れることができる動物、そんなイメージを抱く人も少なくないはずです。
犬愛にあふれていると話題の感涙エッセイ漫画『いとしのオカメ』『いとしのギー』を上梓した漫画家のおおがきなこさんは、元保護犬であるオカメ(ミニチュアダックスフント・メス)とギー(元野良の雑種犬・メス)との日々を1年半前からWEB上で描きはじめました。おおがさんは動物好きではありましたが、オカメを飼うまで犬を飼ったことがありませんでした。どうして保護犬を飼うことになったのかを伺いました。

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■「NO」と言えずに保護犬を飼うことになった

 私は、「保護犬」という言葉を使うのが怖い。それそのものがイヤなわけじゃない。「保護犬」という言葉を使った後に、「意識高いな」って顔で人が離れていくのが怖い。なんなら「保護犬」と見出しのついたWEBの記事にイイね! するのも避けている。

 私はただの犬好きなのだ。「犬を飼うなら保護犬もらってきましょうかね」って思っているだけなんだけど、ほらもう、志高そうでしょう。しかも、上級者っぽいでしょう。心構えに余裕がありそうというか、そう見えてしまうことが怖いのだと思う。

 そもそも私が保護犬を飼うことになったのは、NOと言えなかったのが始まりだった。6年前、たまたまペットショップをのぞき、犬のかわいさにあてられた。

 数日後、「犬買おうかな」と口にした私を、ご近所さんが里親会に誘った。まずそれをNOと言えなかった。「成犬からでもいとしいわよ」と言われた。それもNOと言えなかった。犬飼ったことないし、子犬じゃなきゃ懐くか不安だよ。とも言えなかった。

 それに、わが家は築50年の古アパートだ。広くもない。なるべくなら人を招待せずにいたいのに、保護犬は家に審査に来るんでしょう?  「こんな家に住む人が……」って思われるのがイヤです……とも言えなかった。結局、何も言えないまま、私は里親会に行ったのである。


■ミニチュアダックスフントが私の前にあらわれた

 ご近所さんに里親会に連れていってもらい、その里親会で紹介されたのが、4歳のオカメ(里親会で出会ったときの名前は「あんず」)だった。

 とても小さなミニチュアダックスフントで、悟りを開いたような目をしていた。

 その犬はまるで「あなたNOって言えずにここに来たでしょ」と私に語りかけているようで、犬を見てそんな被害妄想するくらい、私はかなりセンシティブになっていた。

 センシティブになると逃げ出したくなる。犬を飼いたいだけなのに、なんでこんなに緊張しなきゃならないんだ。

 ペットショップならもっと楽しい気分で事が運ぶのに。でも結局ペットショップでは買わなかった。それはなぜか。オカメがかわいかったからだ。

 こんなかわいい子、もういないと思った。見れば見るほどかわいかった。同じ地球上に4年もいただなんて、人生4年損した。悟ったような目も、小さな体も、肉球も癖っ毛も、全部かわいい。ありがとうボランティアさん、本当にありがとう。そのときにはもうすっかり、飼う気満々になっていた。

 あんずに会った晩に、申込書を希望した。里親会に行くまではとても緊張していたのが嘘のようだった。

 オカメに一目ぼれした私は、すぐに里親を申し込んで、家族になった。実際、オカメがわが家にきてから大変なことは1つもなかった。もちろん、玄関のチャイムが鳴ればほえることもあるし、トイレを覚えさせるのにも3週間かかったけれど、ほかに大変だったことは何もなかった。

 オカメは、初心者でもするりと飼える犬だった。ボランティアさんはそれを見越してお見合いをすすめたのだろう。

 オカメに限らず、私がお世話になったボランティアさんは、犬の性格を深く理解し、里親になろうとしている人たちのライフスタイルをしっかりみた。それぞれの家庭と犬の相性を考えているのだ。おかげでオカメと家族になるのはスムーズだったし、信頼関係を築くのにも時間はかからなかった。これで、私は「保護犬普通だな」というハートが出来上がったのである。

■「保護犬」という言葉で見えない壁ができた

 もちろん保護犬の中には、繊細な性格の犬もいる。次回以降改めて書くが、5年半後に迎えた2匹目のギー(元野良の雑種犬)にはいろいろ困った。

 なので「全然普通」っていうのも犬たちに失礼なのだが、オカメを迎えて自信のついた当初、私はこう言って回った。『みんな、保護犬を飼いましょう』と。自分のFacebookに投稿しました。熱く熱く投稿しました。私の投稿を読んだ友人知人が、ペットショップに行かず、里親会に行くことを望んで。

 でもそんな熱意とは反対に、投稿後に犬好きの友人知人たちがサーっと私の周りから離れていった。緊張させちゃったのだろう。みんな楽しく犬と暮らしたいだけなのに。私だってそうだったのに。

 こういう経緯で、おじけづいた経験をもつ私は「保護犬」という言葉を避けている。漫画の中でもなるべく使っていない。『保護犬と私』って感じの漫画にしたら、また緊張させてしまって、楽しく犬と暮らしたい人たちに読んでもらえないんじゃないかと思った。

 漫画は、2匹目のギーが来てからWEBで始めた。保護犬への熱意やメッセージではなく、元野良犬であるギーとの日常を描くことにした。

 それを読んでくださった方の感想が「やっぱり保護犬って大変そう」でも「この作者でもいけるなら自分もいける」でもよかった。

 読む側のタイミングで、心がどこかしらに動いてくれやしないだろうか。そう思った。その人の心のリモコンは、その人の中にしかない。

 オカメが病気になってしまったのは、そうしてギーの漫画を描き始めてから、たったの半年後のことだった。

おおが きなこ :漫画家・イラストレーター


posted by しっぽ@にゅうす at 09:35 | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする