動物 しっぽニュース
認定NPO法人HOKKAIDOしっぽの会

2020年01月23日

震災当時「被災ペット」を山奥で保護 跡地を訪ねた


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災害時に飼い主が被災し、行き場所を失った犬や猫を「被災ペット」と呼び始めたのは阪神・淡路大震災だった。その数は1万匹近いと推定される中、兵庫県三田市と神戸市北区に保護専門の施設が開設されていた。その名は「動物救護センター」。人の支援もままらないのに−などと批判を受けつつも、獣医師やボランティアら1万人以上が活動を続けたと聞き、三田の跡地を訪ねた。(山脇未菜美)

【写真】犬の散歩コースはマムシが出るほど険しい道だった

 三田の施設は「三田救護センター」と呼ばれ、高次の「狐ケ谷」という山奥にあった。廃屋となった牛の飼育施設「JA兵庫六甲畜産センター」に入り、木々や雑草が茂る山道から道を下ると、さら地が現れた。

 「この谷底をコンクリートで造成してプレハブ小屋を置いたんです」。支援に携わった三田市下内神の獣医師・嵐泰造さん(66)が語った。多い時には犬や猫、ハト、ウサギなど約460匹を収容した。

 三田救護センターは地震から約1カ月後の2月16日、県と神戸市の獣医師会などでつくった「県南部地震動物救援本部」が開設。1月末には神戸市北区にも「神戸本部」が造られた。「震災ではぐれた」「避難所暮らしが長引きそう」と飼い主の手を離れた理由はさまざまだった。

 苦労は尽きなかった。土地探しは鳴き声やにおいに配慮して難航。造成するにも重機は被災地に集中して少なく、引き受けてくれた業者も神戸で被災していた。「運転手の男性は家族に『動物の救護に行く』と言えず『災害復旧へ』と伝えていたそうです。胸がズキッとしましたね」と県獣医師会の小林周之さん(64)=同県川西市=は振り返る。

 収容した動物は慣れない環境に気が立ち、下痢や嘔吐を繰り返した。獣医師らが泊まり込みで世話を続け、飼い主が分からなければ里親を探した。「何かの役に立ちたい」と全国から1万人以上の学生や市民らが駆け付け、義援金も2億4400万円に上った。

 被災ペットが減って野犬が増えてきたことから、三田救護センターは役目を終えたとして12月末で閉じて神戸と統合。神戸も翌年5月に閉鎖した。記録では、両施設の引き取りは1500匹を超え、約350匹を飼い主に戻した。

 一方で約千匹は新たな飼い主を探したといい、三田救護センターを閉める際にもボランティアが残った数匹の動物を連れて帰った。嵐さんは「ペットは家族です。一緒にいることで心も癒やされる。ただ、やむを得なく捨ててしまうと野犬やカラスなどに狙われ、命に関わってくることも考えてみてほしい」と話す。

■模索続く被災ペットのルールづくり

 被災ペットを巡っては、東日本大震災を受けて環境省が自治体向けにガイドラインを作成。飼い主とペットが同行避難することを原則に、普段からの予防接種▽不妊去勢処置▽吠えさせないなどの「しつけ」▽飼い主情報を記録した「マイクロチップ」の取り付け−などを呼び掛ける。

 ガイドラインは、飼い主の心のケアに災害時の動物救護活動は必要と指摘し、放置すれば野犬化するなどして住環境に悪影響を与える恐れもあるとする。熊本地震でペットを救護した「災害派遣獣医療チーム」(VMAT)は全国で設立の動きが広がりつつある。

 三田市は指定避難所38カ所の運営マニュアルに、ペットの飼育スペース設置などを検討すると明記、ただ、場所は施設管理者らとの協議次第という。

 近年の自然災害でも周りに遠慮した末に車中泊をしたり、被災した自宅にペットを残してえさを与えに帰ったりする人が後を絶たず、ルールづくりが模索されている。
posted by しっぽ@にゅうす at 09:00 | ペット | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする