動物 しっぽニュース
認定NPO法人HOKKAIDOしっぽの会

2020年02月04日

警察犬、どう育てているの? 普段はかわいいペット

中日新聞



鋭い嗅覚で事件の解明や行方不明者の捜索に活躍する警察犬。においのスペシャリストは、どこで、どうやって育てているのか。訓練現場を見に行った。

 警察犬といっても、多くは本当の主人がいる。普段はペットとしてかわいがられていて、いざというときに依頼されて出動する。警察が直接、飼育する「直轄警察犬」との違いから「嘱託警察犬」と呼ぶ。

訓練中のコーギー。岩政さん(奥)が手に持つ布と同じにおいの布を探す=岐阜県大野町松山で

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 日本警察犬協会(東京)によると、全国の嘱託犬は約千三百頭。直轄犬しかいない警視庁と大阪府警を除き、すべての道府県警で嘱託犬が採用されている。岐阜県警の場合は、十八頭の警察犬はすべてが嘱託犬だ。

 飼い主から預けられた犬たちが、民間の六施設で訓練を積んでいる。県内最大の羽島警察犬愛犬大野訓練所(岐阜県大野町松山)には現在、十頭がいる。

 訓練士の岩政真理さん(28)が、シェパードの「グナ」(雌、六歳)に「座れ」「待て」と指示していた。グナは地面に鼻をつけ、別の訓練士が歩いた道のりを正確にたどり、遺留品を見つけ出した。

 「足跡(そくせき)追及」と呼ばれ、においを頼りに容疑者の足どりを追う重要な任務。グナは二〇一八、一九年と日本警察犬協会主催の二つの競技会で、いずれも足跡追及の部で日本一に輝いた。警察犬になって四年、行方不明者の捜索やコンビニ強盗の捜査でキャリアを積んだ。

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 訓練所には、四人の訓練士がいる。犬とのペアは決まっている。犬が週末や夏休みなどに飼い主のもとに帰るとき以外は、常に二人三脚で一緒に過ごす。

 つきあいが長くなるにつれ、信頼も深まる。訓練所の湊臣正(とみまさ)所長(61)は「年配の犬は慎重さや確実さがある。人間と一緒で場数を踏んだ経験がものをいう」。県警鑑識課によると、昨年一年間の警察犬の出動は百十三件。認知症の高齢者らが増え、行方不明者の捜索が95%を占める。

 十八頭の県警の警察犬のうち十七頭がシェパード、もう一頭はラブラドルレトリバー。大型犬のイメージが強い警察犬に、最近は小型犬の挑戦も始まっている。

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今春の警察犬採用を目指すパグのノブナガ=岐阜県中津川市田瀬で

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 志津警察犬愛犬訓練所(岐阜県中津川市田瀬)の向山(むかいやま)美咲さん(43)は昨年十一月、県警の警察犬審査会にパグの「ノブナガ」(雄、三歳)を出した。

 岐阜県警の嘱託犬は「一年契約」。年度が替わるごとに、採用のチャンスがある。ノブナガは布のにおいをかぎ、五つの布の中から同じにおいを当てる「臭気選別」に臨んだ。審査結果は三月中に発表される。

 パグは性格が頑固な傾向があるというが、ノブナガは遊びと思うのか訓練を喜び、反応が良い。

 向山さんは「犯人を捜すにも小さい犬なら連れていても警戒されない。散歩しているだけに見え、狭いところにも入れる」と長所を語る。

 羽島警察犬愛犬大野訓練所でもコーギーの訓練をしている。日本警察犬協会によると、茨城県警にはトイプードルの警察犬がいるという。

 防犯カメラが普及し、事件捜査が進化しても犬たちへの信頼は変わらない。県警関係者は言う。「人工知能(AI)でも、まだにおいはかぎ分けられない」

 (神田要一)

 【土平編集委員のコメント】 今日紹介したのは、岐阜県全域を対象にした岐阜県版の記事です。殺人や強盗などの事件現場に、警察犬が現れると、独特の緊張感がありました。人間よりはるかに鋭敏な嗅覚を持つ「鼻の捜査官」への期待だったでしょうか。私だけの感じ方だったかもしれませんが、背筋が伸びるような思いでした。かつての取材を思い出しながら読んだ記事の中で、ほほ笑ましい気持ちになったのが、パグの「ノブナガ」。事件現場へ登場する姿を思い浮かべました。審査結果は3月中に発表とのことですが、採用を期待してしまいます。
posted by しっぽ@にゅうす at 08:49 | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする