動物 しっぽニュース
認定NPO法人HOKKAIDOしっぽの会

2020年02月11日

うさぎが寒さで震えてる…まだある学校飼育動物の悲惨な現状

Yahoo! JAPAN


冬、水が凍って飲めず、体調を壊す動物たち
 温暖と言われる今年の冬。とは言っても、東京都内でも深夜には4度前後にまで気温は下がる。さらに、週末には寒波も到来した。

【写真】うさぎにニワトリにアヒルに…友森さんが保護した動物たち

 この真冬に、学校で飼育されている動物の中には、過酷な環境かで暮らしているケースも少なくない。学校飼育動物の多くは、校庭の片隅など屋外の飼育小屋が飼育場となっている。外気が入らず暖房設備などがあれば別だが、冬は当然なら寒い。飲み水が凍って、喉が渇いても飲めていなかった、という報告もある。想像してみてほしい。この冬空の下、夜中、外に出されていたら。水もエサも十分に与えてもらえなかったらどうだろうか。

 動物保護活動をする特定非営利活動法人ランコントレ・ミグノンの友森玲子さんは、動物愛護管理審議会に参加すると、教員や保護者などから学校(小学校・幼稚園)飼育動物の問題点や課題が寄せられる、と話す。

 東京都では「小学校動物飼育推進校」を設けて獣医と相談しながら飼育する環境を作るなど改善もみられるが、それでもなお、学校での動物飼育を行っているところは残っているのだ。しかも、「動物愛護教育のための学校飼育動物」の目的を果たさないばかりか、「目を背けたくなるような状況で単に生かされているだけ」いうケースも、残念ながらまだまだあるという。

 しかも、全国の教育現場(幼稚園・小学校など)でどんな動物をどれだけ飼育するかは各学校や園の判断に任されているケースが多く、文部省は実態調査もできていないというのが現状だ。

 そんな学校飼育動物の現状を友森さんに教えてもらった。

うさぎが寒さで震えてる…まだある学校飼育動物の悲惨な現状
動物はかわいいが、飼育は想像以上に手間も責任も大きい(写真は本文と関係ありません)photo/iStock
飼育したことがない教師にかかる過剰な負担
 学校動物が、劣悪な環境下で飼育されている、というと、学校が悪い、教員が悪い、という話になりがちだ。しかし以前から、教育現場での教員の過重労働は問題になっている。一般の授業を終え、放課後には部活や子供達のテストの採点など、膨大な業務を抱えて教員たちは大忙しだ。そこに、さらに“飼育委員(生き物係)の担当”になってしまったら大変だ。

 世話は子供たちといっしょに、と言っても責任者は学校側。教員が受け持つことになる。子供たちが作った当番表を確認しまとめ、毎日きちんと世話をできているかチェックをしなくてはならない。エサや消耗品の補充、動物が病気になったときには通院もあるし、年老いた動物には生活のあらゆる部分で介助する介護が待っている。

 動物を世話するとは、命を預かることなのだから、これらのことをケアするのは当然だ。しかし、すべての教員がこれらの事柄に対応できるのだろうか? しかも、動物の飼育経験がない教員が飼育委員を担当することもある。知識や愛情があっても、膨大な業務の中でどれだけその志を続けることができるのか……。

 実際にこんな話を教育現場のスタッフから聞いたことがある。飼育委員の教員が、日々の業務に追われ、あまりに疲れてしまい、うさぎ小屋に立ち寄ることをすっかり忘れてしまった。ある朝、うさぎ小屋を見に行くと、うさぎたちはぐったりして元気がない。エサ箱も水も何も入っていなくて干からびた状態に。子供たちも教員に注意されなかったことで、エサやりなどの世話を数日間していなかったという。

 幸い、うさぎの命はとりとめられたが、万が一、亡くなっていたら、教員は子供たちにどう話をするのだろうか? 自分も子供たちも世話をしなかったことが問題だったときちんと伝えられたのだろうか……。

「責任も予算もない」、これが学校飼育の現状
 このように飼育委員の担当になると教員は大変だ。たまたま飼育動物が若くて健康な時期にあたればまだケアはしやすいかもしれない。が、高齢になると、自力で食事ができないこともある。人間がサポートしながらエサを与える強制給餌や投薬などの介護が必要な時期に飼育委員になった教員は、夜間の給餌や投薬のために自宅へ連れ帰ってまで世話をしている例もある。

 具合が悪い動物の通院も学校の業務が終わってからでは動物病院に間に合わず、無理にやりくりして連れて行き、その分残った業務のために残業をしているという声も聞く。

 しかも、学校動物にかけられる医療費の予算は余裕がある状態とは言えない。一例として、都内のある自治体では、22校に対して年間13万円の動物医療費予算を設けている。しかし、該当校の全体で、どんな動物を、何頭飼育しているかは全く把握していないままに予算を立てているのが現状だ。1校で飼育動物の個体は複数だろうから、少なくとも22個体以上のうさぎやニワトリなどを飼育しているとする。もしも、同時期に複数の学校で、飼育動物が病気や老齢期を迎えたときには、予算は当然足りない。

 その不足した医療費は、一体誰が負担するのか。子供たちに「命の大切さを教育するために飼育している現場」で、「お金がないから十分な医療行為を受けさせない」という言い訳は考えられない。一般の家庭では、飼い主がいれば飼い主が負担するが、学校動物の場合、担当の教員はいても「飼い主」は存在しない。飼い主もいない、予算もない中で、命への責任、物言えぬ生き物に対する慈しみ、弱者に対する想像力や思いやりを子供達へ教えられるのだろうか。

うさぎが寒さで震えてる…まだある学校飼育動物の悲惨な現状
うさぎは繁殖力も強いため、きちんと管理しないと増えすぎの問題もある。写真/山内信也
飼育委員だった私の強烈すぎる、うさぎとの思い出
 私は、幼い頃から動物が好きだった。小学4年生になり委員会へ参加することが決まると、他の選択肢は考えられず“飼育委員”に立候補した。大好きな動物の世話が公然とできると張り切っていた。

 が、飼育委員の思い出は、小屋の中で増えすぎてしまったうさぎが、出産するなりその赤子をいきなり食べてしまったことだ。

 子供にとってはあまりに衝撃的で、この事態をどうにかしなくては! と他の子うさぎを取り上げて持ち帰り、自宅でミルクで育てようとした。しかし、当時飼育にまだ不慣れだったため、すべて死んでしまった。懸命にミルクをあげていたのに、死んだ途端に、さっきまで真っ赤な赤子が白く冷たく変色していく。この記憶は今でも鮮明に残っている。

 また、飼育小屋の水飲み場で、詰まり、固まった糞や泥を掻き出して、うさぎたちに綺麗な水を飲ませたくて先生と掃除したことも忘れられない。そのあまりの臭いと大量の糞に呆然としたこと。うさぎが増えすぎてエサが足りず、通学前に八百屋さんへ寄って、くず野菜をもらい、重さによろけながら通学したこと。いつもそうやって野菜の生ゴミを背負って歩いていると男子にいじめられたことなども、私の飼育委員に刻まれた思い出だ。

 確かに、楽しかった思い出もあるし、私にとっては動物との関わり方を教えてくれた貴重な時間でもあったが、真っ先に思い出すのは、うさぎの愛おしさよりも強烈すぎるそういった出来事なのだ。もちろんこれは1990年代のことで、現在は東京都が「小学校動物飼育推進校」を指定して獣医との連携をはかったり、文科省が学校での動物飼育の注意点をまとめるようにはなった。でも、まだ同様の学校飼育が続いているところも少なくないのだ。


動物と触れ合わないと、命の大切さは学べないの?
 学校は、動物を通して子供たちに何を伝えたいのだろうか? 今の状況では、その目的がはっきりとしない。まずは飼育する目的をきちんと把握する必要があるだろう。「命を大切に?」「他者への思いやり?」、これらは、動物を飼育小屋で飼育することで目的を果たすことができるのだろうか。

 また、動物愛護教育の一環にと、学校に動物(保護動物など)を呼んで、ふれあいの活動をしているケースもある。一見、良さそうな活動に感じる方もいるかもしれないが、知らない場所へ連れてこられ、、知らない大人や子供に触られ、おとなしくしている動物のストレスは計り知れないほど大きい。おとなしいからと連れてこられた動物たちが負担を抱えた状況の中で、他者への思いやり、または生き物や命を大切にしようと子供たちが学ぶことができるのだろうか。

 以前、この件については以前別の記事にも書いたが、実際に生き物を使わなくても教材を工夫して「命の尊さ」を教えることはできるはずだ。学校飼育動物や学校訪問動物がいなくても、他者への気遣いや小さな生き物を慈しむ心は、親が日々手本を示すことによって共感し、少しずつ学ぶことだと思う。子供たちへ大切なことを教えられないまま、教員の負担になり、悲惨な生涯を動物たちに強いる学校飼育動物は本当に必要なのだろうか。

子供の学校の飼育動物、現状を把握していますか?
 では、もしも学校飼育動物の環境が悪い場合はどのようにしたら良いのだろうか? お子さんがいる方は、学校へ行った際に、ぜひ飼育動物をチェックしてみてほしい。どんな動物がいるか、どのように飼われているか、自分の子供がその動物たちをどう感じているのかを確認してみてほしいのだ。

 外での飼育は、基本的に飼育環境としては劣悪だと思うべきだ。動物園の動物たちも終始外にいるわけではなく、夜間や季節に合わせて、室内に移動するなど、飼育環境は工夫している。しかし、学校飼育はそういう配慮がないケースがとても多い。

 飼育方法が悪い場合には、下記の要望を学校やPTAなどに提出してみてほしい。
・空調のある室内のケージなどの飼育を基本にする
・正しい飼い方を子供達と一緒に勉強する、
・子供が当番の時にはきちんと世話をできたか確認をする

 学校に言いにくい、動物のことは二の次、そこまで学校でケアするのはありえない、という声もあるかもしれない。しかし、動物を飼育するというのは「命を預かること」であることを忘れてはいけない。教育現場で命をぞんざいに扱うことがあってはならないのだから。

 もしも、改善が難しそうな場合は、学校へ新たに飼育しないよう働きかけ、引き取れる人がいるなら今いる動物を健康なうちに一般家庭へ迎え入れてもらうのも良いだろう。


情操教育、癒し……。なぜ動物だけ人間のため!?
 またここ数年、災害が非常に増えている。地震や水害など災害時に、学校飼育動物を保護するのか。誰が助け出して、誰がケアするのか。そういたったことは、残念ながらきちんと対策が取られていない学校が多い。

 昨年10月に起きた台風19号の際に、SNSでは、外で繋がれたり、外の犬小屋にいる犬を心配しての「#犬をしまえ」が話題になったが、学校飼育動物の場合、そのまま見殺しにされてしまったり、飼育小屋が破損して逃げ出してしまう事もある。子供たちと大切に育てているはずの動物が、そのような状況下にいることは避けたいものだ。災害時に学校飼育動物はどうするのか、学校や教育委員会合わせて、対策を講じてほしいと思う。

 また、どんなに良い環境で飼育したとしても、それはあくまで人間側の一方的な意思で決定されるのだということを忘れてはいけないのだ。動物は選択肢がなく連れて来られ、そこで生涯を終えるということだ。

 子供の情操教育のため、心が疲れた人の癒しのため、生きがいのため、動物と触れ合うことで認知障害の予防になるなど、人は様々な理由で動物たちを“利用しよう”とする。動物たちがそのことを選択したわけではない、ということは忘れてはならないのだ。こちらの都合で来てもらったのだから、その動物の習性を学び、できる限り彼らにとって快適で幸せな生涯を全うしてもらえるように、こちらもサポートする。こういう姿こそ、子供への情操教育になると私は思っている。

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今年は、令和2(にゃー)年/2020(にゃーにゃー)年2月22日(にゃーにゃーにゃー)ということもあって、最強の猫の日とも言われています。各地で猫にまつわるイベントが多いですが、猫と猫が好きなクリエイターのライフスタイルを映像と写真でグローバルに紹介するプロジェクト「POMPOMCAT」が今年も開催されます。売り上げの一部が、友森さんが主宰する動物保護団体『ランコントレ・ミグノン』に寄付されます。詳しくは下記を参照してください。
「POMPOMCAT ネコのいる暮らし展Vol.7 〜California Cat Lifestyle〜」
2020年2月15日(土)〜2月20日(水)<会期中無休・入場無料>
場所:渋谷PARCO COMINGSOON
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友森 玲子(株式会社ミグノンプラン代表 特別非営利活動法人ランコントレ・ミグノン代表)
posted by しっぽ@にゅうす at 09:31 | 動物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする