動物 しっぽニュース
認定NPO法人HOKKAIDOしっぽの会

2020年02月11日

犬猫の輸血 確保困難 善意の提供で救える命

北海道新聞


犬や猫を治療する血液が足りない―。ペットは、人間のように献血して必要な時に供給する血液バンクの仕組みがない。各動物病院が、飼い主にボランティアでペットの献血を呼びかけたり、自ら動物を飼育したりして、必要な血液の確保に努めている。獣医師らは「輸血で助かる命がある」と犬や猫の供血への理解と協力を呼びかけている。

■獣医師ら協力呼びかけ

 午後9時から翌朝午前5時まで年中無休で診療する、札幌夜間動物病院(札幌市中央区)。川瀬広大院長(38)は「輸血用の血液が足りない。善意の血液提供に頼っている」と話す。

 同病院が2018〜19年の2年間に診療した犬約7千件と猫約2千件のうち、輸血が必要と診断したのは犬58件、猫16件。ともに全体の0・8%。1カ月平均で犬と猫で計約3件だ。

 同病院で輸血が必要とされた原因は、多い順に犬が《1》腫瘍(がんなど)《2》自己免疫疾患《3》腎不全、猫が《1》腫瘍《2》腎不全《3》敗血症・多臓器不全。輸血が必要になった犬と猫計74件のうち、実際に輸血を受けられたのは10件だけ。必要な犬や猫のわずか14%にすぎない。受けられなかった中には命を落とした犬や猫もいるのが、現実だ。

 同病院では、知人の獣医師などが飼っている大型犬に来てもらって採血し、院内で冷蔵・冷凍保存して急な輸血に備えている。だが、採血・保存は月に1、2件程度と少なく、全ての輸血まではまかなえない。保存血液がないときは、飼い主に知人を当たって献血に協力できるペットを連れて来てもらうこともある。

 川瀬院長は、日ごろからのペットの健康管理も大切と訴える。「輸血が必要な重度の貧血になる前に、飼い主さんが早めに気づいて受診してほしい」

■独自にバンク登録

 北大動物医療センター(札幌市北区)には10年前から、献血ボランティア動物の登録制度がある。登録した犬や猫から採血した血液を保存し、同センターで治療や手術で輸血が必要な犬や猫に提供している院内専用の血液バンクだ。

 登録できるのは、1〜8歳の若くて健康な大型犬と猫。登録されると、3〜6カ月に一度、同センターで献血に協力するという仕組み。現在、犬6頭と猫5匹が登録されているが、その数は増えていない。同センターも、献血ボランティアだけで必要な輸血用血液をまかなうことはできない。緊急時に採血し血液を提供する供血犬を10頭飼育しているほか、患者の飼い主に血液を提供してくれる動物を探してもらうこともあるという。

 血液不足の背景について、献血ボランティアを担当する同センターの横山望特任助教(36)=北大大学院獣医学研究院=は「犬や猫も、人と同様に、輸血で治療できる、命を救えることが、あまり知られていないのではないか」と指摘する。前担当者の山崎淳平特任准教授(40)=同=は「ペットも長寿となり、病気が増えていることも一因。人工血液の研究も行われているが、実用化には至っていない」と現状を語った。(編集委員岩本進)

<ことば>ペットの輸血 犬や猫にも血液型がある。各動物病院は適合するかどうかを調べてから輸血している。農林水産省によると、輸血は獣医師の診療行為。自分の病院で採血した血液を自院で輸血することに問題はない。だが、採血した血液を他の病院などに譲り渡したり販売したりすることは、有効性や安全性の観点から法律で認められていない。
posted by しっぽ@にゅうす at 09:34 | ペット | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする