動物 しっぽニュース
認定NPO法人HOKKAIDOしっぽの会

2020年03月15日

日本人はいつまで「毛皮」を買うのか…オシャレが隠す「残酷な現実」

Yahoo! JAPAN



ファッション業界が突如サステナビリティに突き進み始めた。その一つの柱に、動物福祉=アニマルウェルフェアが含まれている。

【衝撃実態】女性に大人気「フクロウカフェ」の残酷すぎる現実

 なぜなら、これまでファッションのために動物たちがとことん苦しめられてきたからだ。そしてそのことが、消費者に受け入れられない社会に変わってきているのだ。

動物の毛皮=ファーの終焉
 2019年、私たちは日本が多くの毛皮製品を輸入する中国の毛皮農場の飼育実態を実際に見る機会を得た。

 高い塀の内側に並べられた無数の小さな檻。そこにぎゅうぎゅうに入れられているキツネやタヌキ。欧米でも毛皮農場は残っているがその狭さは比べ物にならない。動物たちが折り重なるように入れられている。周辺に打ち捨てられた死体が置かれ、朽ち果てつつある。

 同じ動作をひたすら繰り返す常同行動を行う動物たちも多い。常同行動は正常な行動ができる環境を奪われたときにあらわれる異常行動だ。改善されなければ徐々に身体的または精神的に健康を害していく。

 欧州にも毛皮農場は残っているが、多くの国で禁止され、毛皮農場は中国に移ってきた。生産場所と技術と資本を中国に移し、利益は欧州に還元されるという構造だ。

 たとえば、モンスターフォックス。本来メスの狐は3.5kg程度だが、20kgまで太るように品種改変された超肥満体の狐のことだ。肥満になれば皮膚の面積が広がり、その分多くの毛皮が取れるという毛皮業者の思惑のために作られた。

 モンスターフォックスは、しっかりと目が開かず、目の感染症にかかりやすい。暑さに弱く、金網の檻の上に立つには体重が重たすぎてあまり動かなくなる。脂肪のひだが顔を圧迫する。

 ノルウェーやフィンランドで繁殖されており、福祉的問題が大きいとして批判を浴びている。このモンスターフォックスを最近は中国で見かけるようになった。

 毛皮にされる動物たちは、ひどい環境の中での8ヵ月程度を耐えた後、電殺や殴打などのひどい方法で殺され、皮を剥がされる。

 このような"素材"が許されるのだろうか。

ファーフリー宣言が続々と
 今年1月、13の日本ブランドが一気にファーフリー宣言をした。ファーフリー宣言とは、動物の毛皮を今後取り扱わないと消費者に約束をすることだ。

 今や毛皮が非倫理的な素材であるということは多くの人が認識する状態になり、なかなかファーフリーを約束をしてくれない日本企業も動き始めたのだ。街中でも毛皮製品を身につける人は格段に減った。

 2006年に毛皮付き衣料品の輸入量はピークに達し、21,331,530点(*1)もの毛皮付き衣類が輸入された。1年で2千万人もの人が、ファー製品を購入したということだ。実際、13年前には誰もが首の周りに動物の毛皮を付けていた。

 ファー大流行中のこの時期に毛皮反対キャンペーンが始まった。キャンペーンは広がり続け、人々の理解を着実に得ていった。

 結果、2006年の毛皮付き衣類の輸入量と比較すると、2019年の輸入量は88.65%減少した。

 毛皮付きの靴の輸入量ピークは2014年で、2006年と比較すると317%増えているが、これについてもすでに減少傾向にあり、2014年と比較すると65.9%減少している。今後さらに減少すると予測される。

 それでも、2019年は約100万頭の動物たちが日本の消費のために犠牲になった(*2)。

 私たちはこの犠牲をゼロにしたい。

 なぜなら、今も、動物たちは檻の中で震え、異常行動をおこし、恐怖し、絶望していて、春にまた繁殖させられ、また夏の暑さを耐え、殺されていく。おしゃれのために行われているこの暴力を許してはならないのだ。

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(*1)財務省貿易統計 貴金属類や履物(靴)、原皮を除く
(*2)財務省貿易統計からアニマルライツセンターが推定
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課題はファーだけではない
 アンゴラ、ダウン、ウール、カシミヤ、モヘア、エキゾチックレザーなど、倫理的問題を抱えた素材が多数使われている。そんなこと言ったら着る服なくなるよって思うかもしれないが、あまり心配しなくて良い時代になってきている。

 アンゴラ

 セーターや手袋などに使われるアンゴラ。長毛種のウサギの四肢を縛り、毛を引き抜く。ウサギは鳴かない動物だが、喉を震わせ悲鳴をあげる。そしてまた毛が生えるのを待ち、また引き抜く。

 あなたの髪の毛を掴まれて、一気に引き抜かれることを想像すればいい。やっと生えてきたなと思ったら、また引き抜かれるという恐怖を、想像してみれば、うさぎたちの苦悩があなたにもわかるはずだ。

 アンゴラの90%が中国で作られていると言われる。しかし、フランスでも同じ状況であることがわかっており、世界中で同じような方法でアンゴラを採取している。

 ダウン

 ダウンも同様だ。約6週間おきに生きた水鳥を取り押さえ、胸の羽毛をむしり取るライブプラッキングという方法が取られる。皮膚が破れ、それを無麻酔で縫い付ける。骨折や窒息で死ぬ鳥もいる。

 肉用にしてから採る方法で、ただしフォアグラ生産に使われた水鳥は使わないというのが福祉的だと言われるが、福祉的であるという認証をとった農場がライブプラッキングをしていたことが動物権利団体の調査で明らかにされ、認証の価値は危ういものになった。

 ウール

 毛を刈るだけでしょ? ってよく言われるウール。しかし、毛刈りはやさしくは行われない。多くの人が観光牧場での毛刈りの様子をイメージしているのだろうが、それは別世界の話だ。

 オーストラリアの農場でも、英国の農場でも、スコットランド農場でも、毛刈り作業員は、羊を殴りつけ、踏みつけ、蹴り飛ばし、切りつけ、振り回している。毛刈りを乱暴に行うため、羊たちは毛だけでなく皮膚や睾丸なども一緒に切り取られる。

 毛刈りが終わった後は傷だらけであったり、立てなくなって毛刈り小屋から這って外に逃げ出そうとする羊たちの姿がある。ありとあらゆる虐待が行われていることが、100以上の農場の調査で明らかになっている。

 特にオーストラリアのウールは、皮膚の面積を大きくするために品種改変で皮膚がひだ状になっているため、お尻付近のひだの間に糞がたまり、うじが湧く。それを防止するために幼齢のときにお尻の皮膚と肉を切り取る。これをミュールジングという。ついでにしっぽも切り取ってしまう。

 ミュールジングを行わないことを証明する認証マークがあるが、前述の通り、ウールの毛刈り自体が残酷であるため認証は意味を成さない。大量生産の中で、福祉的な扱いを期待すること自体が無理な話なのだ。

 カシミヤ

 高品質だと考えられているカシミヤの90%が中国とモンゴルで生産されている。カシミヤに使われるのはヤギの冬毛だ。

 毛を刈ると粗い毛まで一緒に採取してしまうため、くしで毛をすいて採取する。「くしで毛をすく」と言われれば、残酷なことはなにもないようなイメージだが、実態は違う。

 作業員はヤギを引き倒し、地面に叩きつけ、手足と角を縛って身動きを封じ、大きな鉄のクシで乱暴に毛を引き抜いていくのだ。

 ヤギの悲鳴を聞いたことはあるだろうか。毛を引き抜かれるとき、人間の男性の叫び声のように、ぎゃーっと叫ぶ。とても聞くに耐えるものではない。

 乱暴であるため、ウールと同じく、足が不自然に曲げられ立てなくなり、膝をついて這うヤギの姿も目撃されている。

 モヘヤ

 モヘヤに使われるのはアンゴラヤギという長毛のヤギだ。多くのモヘアは南アフリカで生産される。

 生後6ヵ月の赤ちゃんのときから毛刈りが始まるが、ある業者は、毛刈りが始まる前までに25%のヤギが死亡すると証言している。

 ヤギの足や角をつかんで引きずり、床に乱暴にひっくり返し、大きなハサミはで毛を刈り取りとる。もがくヤギを押さえつけ、時には肉を斬り裂く。

 ウルトラファインウール

 新たな素材として広がったものもある。超微細ウールと言われるウルトラファインウールだ。

 羊たちは小さな檻に単独で入れられ、食べ物を制限され、ホコリがつくのをふせぐカバーをかけられ、細い毛を生み出します。5〜15%の羊がこの環境に適応できず、餌を食べなくなる。

 このような新たな素材が今後も生み出されないとも限らない。商用に流通するすべての動物性素材の裏側には、必ず隠された残酷さがあることを忘れないでほしい。

 これら残酷な生産方法によって得られた製品は、広まるのは早く、収束するのには時間がかかるのだ。


シャネル、グッチ、プラダ…
 ありがたいことに、動物性素材を離れる動きが加速し始めている。

 シャネルとグッチはファーとともに、アンゴラとエキゾチックレザーの使用を廃止した。プラダはファーもアンゴラもやめた。

 日本企業はまだ多くはないが、日本のナンバーワンのアパレル企業であるユニクロもファーとモヘアの使用を廃止した。ユニクロを始めとして、複数の企業がダウンのリサイクルを始めている。H&MもZARAもモヘヤやアンゴラの取り扱いをやめている。

 新たにアニマルフリーの素材が次々と生み出されていっている。ダウンよりも暖かい中綿、アンゴラよりも温かい繊維、ウールより保湿性が高い素材、しかも環境負荷を考慮し化繊もやめ植物性でそれらが作られ始めている。

 例えばパイナップルの皮から作られるレザーや、植物からできた温かい繊維など、競争が激化していっている。日本企業もこの分野で力を発揮している。

 これまで多くの動物性素材の醜悪な実態が動物権利団体によって暴かれてきた。その実態調査がなければ前述の企業も動かなかっただろう。

 これまでアパレル企業はもしかしたら実態を知った上で売っていたのかもしれない。もしくは知らなかったのかもしれない。

 いずれにせよ、企業は消費者が真実を知るまで、できるだけ長くこのような残酷で安い素材を利用して儲けようと考えており、今もまだそのようなアパレル企業が多数ある。

 消費者が実態を知り、行動しなければ、企業は変わらない。そして問題を解決しようと、企業が本気で取り組み始めたとき、初めてイノベーションが起きる。その変化はすばらしいことだと感じる。

 消費者はこの素晴らしい変化に簡単に加わることができる。動物性素材を使う商品を買わなければいいだけなのだ。

 暴力を内包し、搾取することを当たり前と思う社会は心地よいものではない。エシカルな社会を目指すことは、誰にとっても損のないことだ。たとえそれが、動物を搾取している企業で働く人にとっても、長期的な視野を持ってさえいれば――。

岡田 千尋(NPO法人アニマルライツセンター代表理事)


posted by しっぽ@にゅうす at 05:53 | 動物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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