動物 しっぽニュース
認定NPO法人HOKKAIDOしっぽの会

2020年03月31日

「愛情」…犬が特別な理由を科学的に検証する


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【AFP=時事】動物も愛情を感じることができるとの考え方は、かつて心理学者らの間で忌み嫌われていた。だが犬に関しては、人間とその最良の友という関係を成り立たせている「何か」を理解する上で愛情というキーワードが不可欠となる──。

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 米アリゾナ州立大学(Arizona State University)の動物心理学者クライブ・ウィン(Clive Wynne)氏(59)は、自身の最新著作「Dog is Love: Why and How Your Dog Loves You(犬は愛:なぜ、どのようにして犬はあなたを愛するのか)」の中でそのように主張している。

 ウィン氏は、2000年代初め頃に犬の研究を開始した。当初は他の動物心理学者と同様、犬に複雑な感情があるとみなすのは擬人観という「罪深い行為」だと考えていたというが、その後、無視できないほど増え続ける一連の証拠に突き動かされ、この考えを改めるに至ったと話す。「時に自らの懐疑的な考え方を疑ってみる価値はある」とAFPのインタビューに語った。

 その一方で、犬が特に優れた才能の持ち主というわけではないとも主張する。

 ハトは平面のイメージで異なる種類の物体を識別でき、イルカは文法を理解することが分かっている。そして、ミツバチはダンスを通じて餌場となる花の場所を仲間と知らせ合うのだ。これらの「能力」をめぐってはどれも、犬が習得したということを聞いたことがない。

 その凶暴性と人への無関心で知られる犬の祖先種のオオカミでさえも、人が出す合図に従う能力を示すことが分かっている。

 そこでウィン氏は、犬が持つ「過度の社交性」こそが犬を際立たせている要因だとして、これを事実と断定するための学際的研究を統合するパラダイムシフトを提唱している。

■ウィリアムズ症候群の遺伝子
 人と人との感情的な結び付きを強くする脳内化学物質「オキシトシン」に関する研究から、最も目覚ましい進歩の一つが得られている。オキシトシンをめぐっては、犬と人間との種間関係にも関与していることが指摘されているのだ。


麻布大学(Azabu University)動物応用科学科の菊水健史(Takefumi Kikusui)氏が主導した研究では、人と飼い犬が互いの目を見つめ合うことで、双方の脳内オキシトシン濃度が急上昇することが明らかにされている。これは母親と赤ちゃんの間で観察される作用に酷似しているという。

 また遺伝学の研究分野では、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の遺伝学者ブリジット・フォンホルト(Bridgett vonHoldt)氏が2009年に驚くべき発見をした。それは、人のウィリアムズ症候群に関与する遺伝子変異を犬も保持していることだ。ウィリアムズ症候群は知的な制限と極端な社交性を持つことが特徴とされる。

「犬に関して本質的なことは、ウィリアムズ症候群の人々の場合と同様に、密接な関係を形成したいという欲求や親密な個人的関係を持ちたいという欲求、すなわち愛し愛されたいという欲求なのだ」と、ウィン氏は著作に記している。

 他方で、新たな行動実験を通じてもさらに多くの洞察が得られている。ウィン氏自身が考案したこれらの行動実験の多くは、一般家庭でも餌のご褒美の助けを借りて簡単に再現できる。

 ある実験では、ドアで犬を隔離し、その反対側に飼い主と餌の入った器をそれぞれドアから同じ距離に置いた。ドアを研究者がロープで引っ張って開けると、犬はまず飼い主の所に向かうことの方が圧倒的に多かったという。

 磁気共鳴画像装置(MRI)を用いて犬の脳を調べた神経科学分野の研究では、犬の脳は褒め言葉に対して、餌と同等かそれ以上の反応を示すことが判明している。

■愛こそはすべて
 ウィン氏は、犬に関する科学において次に注目されるのが遺伝学と話し、1万4000年以上前に犬の家畜化がどのような過程を経て起きたかという謎の解明の助けにもなると考えている。

 DNA配列決定法の進歩により、ウィリアムズ症候群に関係する重要な変異がいつ犬の遺伝子に発生したのかを知ることは可能になると想定される。ウィン氏は、この変異が最終氷期の終わりごろの8000年〜1万年前に発生したと推測している。これは人類が犬を連れた狩猟を常時行い始めた時期と重なる。


科学の進歩という観点からは、これらの研究結果が重要視されることは間違いない。ただ、それだけではなく、犬の幸福への寄与においてもこうした研究は有意義となるとウィン氏は主張する。

 これは、「チョークカラー」などの痛みに基づく荒々しい訓練方法が否定されることを意味する。この種の訓練方法は、飼い主に「犬の群れのリーダー」になることを求める著名なトレーナーらによって広く知られるようになった「支配性」の理解に基づくものだが、この理解は誤りであることが一部で指摘されている。

 ウィン氏は、犬が望んでいるのは、思いやりのあるリーダーシップと正の強化(失敗に罰を与えず、好ましい行動を褒めてその行動を繰り返させる訓練法)を通じた「飼い主からの指示」だと指摘し、「高価なおもちゃやご褒美などを買う必要はない。何を利用できるかは誰にも分からない」と述べる。

「犬たちはただ人との親交が必要なだけだ。人が一緒にいてくれることを必要としているのだ」 【翻訳編集】 AFPBB News


posted by しっぽ@にゅうす at 13:26 | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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