動物 しっぽニュース
認定NPO法人HOKKAIDOしっぽの会

2020年03月29日

外来種のカメが爆発的に増加、ペット放棄で、困るNY

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在来種を締め出しアオコ発生の一因にも、ミシシッピアカミミガメ
 米国ニューヨークのモーニングサイドパークにある緑色のよどんだ池は、大鍋に入ったエンドウマメのスープのようだが、まったくもっておいしそうではない。発泡スチロールのカップとビニール袋が、緑色の泡と一緒に池のへりに浮かんでいる。ニューヨーク市の公園にある人工の池と聞けば、多くの人が思い浮かべそうな光景だ。

ギャラリー:驚くほどかわいい、世界のカメ 写真17点

 それでも、ここでは生命が暮らしている。池を眺めるベンチの向かいでは、岩盤が露出し、その上を水が細く流れる。数本のシダレヤナギが水面に向かって枝を垂らしており、その下の池の縁に沿って列を作っているのが、100匹近いカメだ。春の日差しに甲羅が照らされている。

 このカメはミシシッピアカミミガメ(Trachemys scripta elegans)という。ミシシッピ川とメキシコ湾に面した地域が原産地で、米国のペット取引で最も人気のあるカメだ。カメ養殖業者が産業規模で繁殖させ、ペット小売業者に卸される。

 国際自然保護連合(IUCN)によれば、1989年から1997年の8年間に、5200万匹を超すミシシッピアカミミガメが合法的に米国から主に中国へ輸出された。ペットショップ、露天商、そしてオンラインのネットワークを通じて違法に売られる数は、それよりずっと多い。

 ミシシッピアカミミガメは、頭の両側にある鮮やかな赤い斑点が耳のように見えることから、こう命名された。IUCNが指定する「世界の侵略的外来種ワース100」にずっと名を連ねている。飼育には大型の水槽と高価なろ過システムが必要な上、長くて50年生きることもあると知り、外に放り出してしまう飼い主が少なくない。

 実際、この池のミシシッピアカミミガメの最大90%(ほとんどは濁った水中に隠れている)は元々ペットだった可能性が高いと、アレン・サルツバーグ氏は言う。氏は爬虫類・両生類学を扱う「ハープダイジェスト・ニューズレター」の発行人であり、非営利団体「ニューヨーク・ウミガメ・リクガメ協会」の長年の会員でもある。

 これら捨てられたカメたちは、ニューヨーク市の都市生態系にとってかなり困った存在になりつつある。在来種のカメを締め出し、有害な藻類を地域の水路に大発生させるほか、人間にサルモネラ菌をうつす可能性さえある。

 この現象はニューヨークに限ったことではない。ミシシッピアカミミガメは現在、米国のほとんど全ての州にすみつき、ハワイにまでいる。侵入した個体数を集計するのは難しいが、市民科学者らが使っている生物観察アプリ「iNaturalist」の数字によると、過去10年間に、米国のほぼ全ての住宅地と都市部で数万匹が確認されている。

「とことん前向きな生き物です」
 南部から来たにもかかわらず、ミシシッピアカミミガメはニューヨークの生活にうまく順応している。「とことん前向きな生き物です」とサルツバーグ氏は言う。「ある物は何でも、最大限に活用するのですから」

 例えば、餌が不足していれば、代謝を落とすことで何カ月も食べずに生きられる。逆に、モーニングサイドパークのように餌に困らない環境ではどんどん大きくなる。実際、池のミシシッピアカミミガメの多くは太りすぎで、四肢と首が異常に太い。魚、昆虫、植物、さらにはポテトチップスなどまで、ほとんど何でも食べるという点も厄介だ。頑丈な甲羅と水中でのスピードも、アライグマやコヨーテなどの天敵から身を守る強力な手段となる。

 ミシシッピアカミミガメが爆発的に増えるのに伴い、在来種が苦境に追い込まれている。

 ニューヨークの水辺では、さまざまな在来種のカメが、個体数の均衡を保ちながら共存してきた。だが、餌だけでなく、変温動物に欠かせない日光浴のスペースをめぐってミシシッピアカミミガメと競合したせいで、在来カメの個体数が減少している。例えば、トウブニシキガメ(Chrysemys picta picta)はニューヨーク州で最もありふれた種だが、一部地域で数を減らしている。ミシシッピアカミミガメが一因だ。

「セントラルパークには池があります。タートル・ポンドという名前の……」と、サルツバーグ氏は言う。「以前はその池に出かけ、ニシキガメやカミツキガメがたくさんいるのを眺めたものです。それが、今やみんなミシシッピアカミミガメです。妻と私がそこでニシキガメを1匹見かけたのが、2年前のことです」

 池の緑色の水も、ミシシッピアカミミガメがもたらす問題だ。緑色になるのは、動物の排泄物に含まれる栄養素を取り込む明るい緑色の藻類のせいだ。この藻類の大発生はアオコと呼ばれ、水中の酸素を消費し、日光をさえぎり、動植物に悪影響を及ぼす。なかには毒性をもつものがあり、2019年には池で泳いだり水を飲んだした犬が複数死亡した。

 ミシシッピアカミミガメを飼うことにも、健康上のリスクがある。多くの爬虫類や両生類がそうだが、カメもサルモネラ菌を体内に持っている。しかも、子どもにとっては可愛がるのが容易で、甲羅にほほをすり寄せたり、頭に口づけしたりする子もいる。

 こうして、カメから人間にサルモネラ菌が広がる。子どもにとっては致命的になりかねない。


放すのは禁止されているが……
 ニューヨーク市の条例は、ペットを外に放すことを例外なく禁じている。しかし、「このような規定に実効性を持たせるには、パークレンジャーが1日24時間、あらゆる公園を隅々まで巡回しなければならないでしょう」と話すのは、クリストファー・ジョーヤ氏だ。氏はブルックリンにある中学校の理科の教師で、州から認可されて野生生物の治療を行うネットワーク「アーバン・ユートピア・ワイルドライフ・リハビリテーション」のボランティアも務めている。

 2019年、11歳の生徒たちに、ジョーヤ氏が野生生物の治療とリハビリテーション(野生復帰)の単元を教えていた頃のこと。生徒の1人が箱を手に登校し、ジョーヤ氏のデスクに誇らしげに置いた。中にミシシッピアカミミガメが1匹入っていた。

 その生徒は、ある飼い主が持て余したカメをプロスペクト公園の芝生に放す様子を見ていたという。飼育動物は野生の生活に適さないとジョーヤ氏から教わっていた生徒は、すぐにそのカメを拾いに行った。

「教師として、素晴らしい瞬間でした」とジョーヤ氏は振り返る。「『すごい! 学んだことが身についていたんだね』という気持ちでした」

 ジョーヤ氏は、このカメの新しいすまいはなかなか見つからないだろうと思った。ペット市場でミシシッピアカミミガメは飽和状態であり、ニューヨークにカメの保護・レスキュー団体は少数あったが、これ以上引き取ることはできなかった。

 ジョーヤ氏は、自ら数百ドルを出して約190リットルの水槽を買い、拾われたミシシッピアカミミガメを教室で飼うことに決めた。クラスの生徒たちはカメを「ピース」と名付けた。

カメに責任はない
 ある日のこと。モーニングサイドパークの池で、子どもたちのグループがカメを眺めていた。女の子が1匹を手に取って水から出し、腕を伸ばして持ち上げた。カメが空中を泳ぐように足を前後に動かすと、キャーッと歓声を上げた。ジョーヤ氏が近づいて行くと、女の子は足元のコンクリートにカメを落とした。

「カメは甲羅に触れるものを、人の皮膚みたいに感じ取れるって知ってた?」 無傷のカメを水の中に戻したジョーヤ氏は、子どもたちにこう尋ねた。「カメの背骨は、実は甲羅そのものの中にあるんだ」

 ペットを飼うことの責任について子どもたちを教育すること以上に、ジョーヤ氏もサルツバーグ氏も、ニューヨーク市のミシシッピアカミミガメ問題に対するすぐれた解決策はないと認める。フェイスブックには、ペットのカメの里親募集広告を投稿できるグループがあるが、需要よりも供給の方がずっと多い。

 人道的な安楽死はカメにとっても、カメに傷つけられる環境にとっても、最も現実的な選択肢であることが多い。とはいえ、ジョーヤ氏にとっては最後の手段だ。

「誰であれ、動揺させてしまったら申し訳ないのですが……」とジョーヤ氏は言いよどんだが、子どもたちに目をやった。「いや、そうじゃありません。申し訳なくはないのです。そもそもカメを飼うときに、あらかじめよく調べておくべきなんです」

文=CAROLINE HOPKINS/訳=高野夏美


posted by しっぽ@にゅうす at 03:08 | 動物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年03月24日

獣医大でいまも残酷な動物実験 約30年前のホルスタイン牛の解剖実習を臨床獣医師が告白

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ネットもSNSもない時代、30年以上前に私は、獣医大学を卒業しました。当時、ラット、ヒヨコ、犬、牛や馬などを使った動物実験を行っていました。動物が好きという単純な理由で、獣医師を目指したのに、こんなに多くの動物の命を犠牲にするのか、とショックの日々でした。しかし、私たちの時代は、生命の尊厳、畏怖の念を徹底的に教え込まれました。

 憧れの獣医師になるために大学に入ったら、犬、牛、鶏、ラットなど多くの実験動物を傷つける実習にショックを受ける学生がいる。

 最近は、動物が本来の行動ができて幸福な状態であるべき「アニマルウェルフェア」(動物福祉)を重視し、健康な動物を傷付ける実習を減らして練習用の模型など代替手段を取り入れ、治療を要する動物の臨床実習に力を入れる大学が出てきた。

 しかし一方で、狭くて汚いケージに実験動物を閉じ込め、麻酔の失敗で動物が苦しんだり、術後のケアも不適切だったりする事例があることが取材で分かった。

(略)

中には「このような授業を受け続けると、学生全員が良心の欠如した人間になってしまうのではないか」と訴える学生もいる。

出典:「明日殺されるのに…」獣医大の驚くべき実態、学生たちの苦悩
とあったので、実際、そのような授業を受けた私の個人的な意見を告白させてもらいます。

大学の解剖学教室で、牛の放血殺
筆者は大阪生まれの大阪育ちで大学に行くまで牛や馬を見たことがほとんどなかった。いまは獣医学部の女子学生比率が半分以上だが、私のときは2割程度しかいなかった。それに身長も153センチと小柄なので、牛の解剖実習のときに倒れるのではないか、とみんなから心配されていた。600キロある牛が、解剖室にドサリと倒れるのであるから。そんな解剖実験の夜は、真っ赤な血潮の中で白と黒のホルスタインが浮かんでは沈む夢を見てよく眠れなかった。

ある日、解剖実習室に早めに到着した筆者は、いつもと違う光景を目にした。乱雑に置いてある椅子がきれいに片付けられて、だだっ広いコンクリートの床に水が流れていた。学生たちは、集まってきてお喋りをしていた。急に静かになったときに、解剖される牛が到着した。牛のために通路があけられ、先生方が教室の真ん中に牛を誘導した。

「女子学生と背の低い学生は外に出なさい。牛が興奮して怪我をすると困るので」

当時の解剖学の教授は、重々しくそう告げた。筆者はのろのろと教室から出ていき、窓によじ登って教室の様子を眺めた。

教室の中には大柄の男子学生が残り教授の指導のもとで解剖の準備が進められた。前肢と後肢に牛の保定用のロープがかけられて男子学生が引っ張り、巨大なホルスタインは、コンクリートの床に地響きをたてて倒れた。それから皮膚を切開して頚静脈、頚動脈を切開して、放血殺が始まった。

私は外の窓からその様子を一部始終見守った。生まれて初めてみた放血殺。筆者は、頭の中がオーバーヒートして酔った気分だった。

牛の四肢の動き、眼球の動きが全て止まり、コンクリートの床に水が流れる音だけが響いていた。

「外にいる学生さんは、教室に」という教授の声で、学生たちは、無言で教室に戻った。

「学生諸君!尊い命を投げ出してくれた牛に感謝しないといけません。この死を無駄にしないために、君たちはしっかり勉強しないとダメです。それが牛に対して報いることになるのです。君たちは、いまショックで虚無感、喪失感を味わっているかもしれません。いまのその気持ちを大切にして、しっかり味わってください。君たちが卒業するまでに、何十頭もの動物の命を犠牲にするわけですから。いまの気持ちを忘れないでください・・・。それではみなさん、この命を差し出してくれた牛に黙祷!」

と教授は、一言一言を噛みしめるように話した。

このようにして、私の解剖学実習は始まりました。

(いまの大学では、麻酔をかけてから放血殺をしています。)

私たちの大学時代
教授たちは、このようにしっかり命の大切さ、尊厳を叩き込む授業をしたので、私たち学生も、社会に出て良心が欠如するような臨床をしないよう心がけています。命は、一度リセットしてしまうと元に戻ることはないことを知っています。ただ、やはり命をもらわずに、動物実習しないで大学の授業が受けられるようになることを願っています。時代は流れて「アニマルウェルフェア」という言葉もあり、動物の福祉や幸福を考える時代になってきているのは事実なので、獣医大学も変わらないといけないですね。

「アニマルウェルフェア」を大切にして、獣医師を育てる
臨床現場に出ると、採血を嫌がる子、貧血で血が取れない子、むくんで血管が見えない子などが多くいます。臨床経験の未熟な獣医師はこれらの子たちを診るのは、難しいです。生きた動物にあまり触れないで大学を卒業すると、社会に出たときに、大変なのです。

私は愛犬で何度も採血していました。獣医学生を育てるためにも、ボランティアで採血させてくれる犬や猫がいる社会にならないといけないのでしょうね。動物も幸せで、そして臨床もちゃんとできる獣医師を育てるシステムになるように、みんなで知恵を絞っていく社会が必要になるのでしょう。

まとめ
私の大学時代は、いまのように情報社会ではなかったので、よく知らず動物が好きで、そんな犬や猫の命を救える獣医師になりたいと思って大学に進みました。大学に入るまで動物実習のことも知らなかったのです。

ただ、大学時代に命をもらった動物に報いるためにも、獣医師をやめることもなく目の前に来た動物の命をつなぎ、ペットの命を大切にしている飼い主に寄り添いながら今日も仕事をしています。
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2020年03月19日

新型コロナ「ペットにも感染」の真偽 香港で犬に陽性反応


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 香港政府は、新型コロナウイルスに感染した女性の飼うイヌが弱い陽性反応を示したことから、さる4日に「感染が確認された」と発表した。が、当のポメラニアンは発症しておらず、同政府も、

〈現時点でペットがウイルス感染を広げるとするデータはない〉

 などと説明した。家畜の感染症に詳しい専門家は、

「新型コロナウイルスはコウモリが感染源であるとほぼ明らかになっており、そこからいくつかの動物を経てヒトに感染したと考えられています。ですから、ヒトとペットとの間での感染は否定できません」

 としながらも、

「ただし、その可能性は限りなく低いでしょう。そもそも、中国であれほど爆発的に感染が広がったのに、イヌやネコのケースは全く報告されていないのです」

 2002年秋から広まった「SARS」騒動では、イヌから感染するという噂が広まったこともあった。

「当時、中国では大量のイヌが捨てられる事態となった。野良犬が増えれば別の病気を誘発しかねませんし、現時点ではペットの飼い主さんは何も注意しなくていいと思います」(同)

 医学博士でもある元小樽市保健所長の外岡立人氏も、こう言うのだ。

「コロナは哺乳動物に感染するため、イヌに感染しても不思議ではありません。ですが、今回はイヌから少量のウイルスが検出されただけの話。ノロウイルスのように強力であれば別ですが、通常は数十万から数百万のウイルスが入らない限り発病はないので、過剰に恐れることはありません」

 イヌの散歩やネコとの添い寝、そして動物園での触れ合い――いずれも、まったく自粛は不要というのだ。

「週刊新潮」2020年3月19日号 掲載

新潮社
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2020年03月15日

日本人はいつまで「毛皮」を買うのか…オシャレが隠す「残酷な現実」

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ファッション業界が突如サステナビリティに突き進み始めた。その一つの柱に、動物福祉=アニマルウェルフェアが含まれている。

【衝撃実態】女性に大人気「フクロウカフェ」の残酷すぎる現実

 なぜなら、これまでファッションのために動物たちがとことん苦しめられてきたからだ。そしてそのことが、消費者に受け入れられない社会に変わってきているのだ。

動物の毛皮=ファーの終焉
 2019年、私たちは日本が多くの毛皮製品を輸入する中国の毛皮農場の飼育実態を実際に見る機会を得た。

 高い塀の内側に並べられた無数の小さな檻。そこにぎゅうぎゅうに入れられているキツネやタヌキ。欧米でも毛皮農場は残っているがその狭さは比べ物にならない。動物たちが折り重なるように入れられている。周辺に打ち捨てられた死体が置かれ、朽ち果てつつある。

 同じ動作をひたすら繰り返す常同行動を行う動物たちも多い。常同行動は正常な行動ができる環境を奪われたときにあらわれる異常行動だ。改善されなければ徐々に身体的または精神的に健康を害していく。

 欧州にも毛皮農場は残っているが、多くの国で禁止され、毛皮農場は中国に移ってきた。生産場所と技術と資本を中国に移し、利益は欧州に還元されるという構造だ。

 たとえば、モンスターフォックス。本来メスの狐は3.5kg程度だが、20kgまで太るように品種改変された超肥満体の狐のことだ。肥満になれば皮膚の面積が広がり、その分多くの毛皮が取れるという毛皮業者の思惑のために作られた。

 モンスターフォックスは、しっかりと目が開かず、目の感染症にかかりやすい。暑さに弱く、金網の檻の上に立つには体重が重たすぎてあまり動かなくなる。脂肪のひだが顔を圧迫する。

 ノルウェーやフィンランドで繁殖されており、福祉的問題が大きいとして批判を浴びている。このモンスターフォックスを最近は中国で見かけるようになった。

 毛皮にされる動物たちは、ひどい環境の中での8ヵ月程度を耐えた後、電殺や殴打などのひどい方法で殺され、皮を剥がされる。

 このような"素材"が許されるのだろうか。

ファーフリー宣言が続々と
 今年1月、13の日本ブランドが一気にファーフリー宣言をした。ファーフリー宣言とは、動物の毛皮を今後取り扱わないと消費者に約束をすることだ。

 今や毛皮が非倫理的な素材であるということは多くの人が認識する状態になり、なかなかファーフリーを約束をしてくれない日本企業も動き始めたのだ。街中でも毛皮製品を身につける人は格段に減った。

 2006年に毛皮付き衣料品の輸入量はピークに達し、21,331,530点(*1)もの毛皮付き衣類が輸入された。1年で2千万人もの人が、ファー製品を購入したということだ。実際、13年前には誰もが首の周りに動物の毛皮を付けていた。

 ファー大流行中のこの時期に毛皮反対キャンペーンが始まった。キャンペーンは広がり続け、人々の理解を着実に得ていった。

 結果、2006年の毛皮付き衣類の輸入量と比較すると、2019年の輸入量は88.65%減少した。

 毛皮付きの靴の輸入量ピークは2014年で、2006年と比較すると317%増えているが、これについてもすでに減少傾向にあり、2014年と比較すると65.9%減少している。今後さらに減少すると予測される。

 それでも、2019年は約100万頭の動物たちが日本の消費のために犠牲になった(*2)。

 私たちはこの犠牲をゼロにしたい。

 なぜなら、今も、動物たちは檻の中で震え、異常行動をおこし、恐怖し、絶望していて、春にまた繁殖させられ、また夏の暑さを耐え、殺されていく。おしゃれのために行われているこの暴力を許してはならないのだ。

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(*1)財務省貿易統計 貴金属類や履物(靴)、原皮を除く
(*2)財務省貿易統計からアニマルライツセンターが推定
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課題はファーだけではない
 アンゴラ、ダウン、ウール、カシミヤ、モヘア、エキゾチックレザーなど、倫理的問題を抱えた素材が多数使われている。そんなこと言ったら着る服なくなるよって思うかもしれないが、あまり心配しなくて良い時代になってきている。

 アンゴラ

 セーターや手袋などに使われるアンゴラ。長毛種のウサギの四肢を縛り、毛を引き抜く。ウサギは鳴かない動物だが、喉を震わせ悲鳴をあげる。そしてまた毛が生えるのを待ち、また引き抜く。

 あなたの髪の毛を掴まれて、一気に引き抜かれることを想像すればいい。やっと生えてきたなと思ったら、また引き抜かれるという恐怖を、想像してみれば、うさぎたちの苦悩があなたにもわかるはずだ。

 アンゴラの90%が中国で作られていると言われる。しかし、フランスでも同じ状況であることがわかっており、世界中で同じような方法でアンゴラを採取している。

 ダウン

 ダウンも同様だ。約6週間おきに生きた水鳥を取り押さえ、胸の羽毛をむしり取るライブプラッキングという方法が取られる。皮膚が破れ、それを無麻酔で縫い付ける。骨折や窒息で死ぬ鳥もいる。

 肉用にしてから採る方法で、ただしフォアグラ生産に使われた水鳥は使わないというのが福祉的だと言われるが、福祉的であるという認証をとった農場がライブプラッキングをしていたことが動物権利団体の調査で明らかにされ、認証の価値は危ういものになった。

 ウール

 毛を刈るだけでしょ? ってよく言われるウール。しかし、毛刈りはやさしくは行われない。多くの人が観光牧場での毛刈りの様子をイメージしているのだろうが、それは別世界の話だ。

 オーストラリアの農場でも、英国の農場でも、スコットランド農場でも、毛刈り作業員は、羊を殴りつけ、踏みつけ、蹴り飛ばし、切りつけ、振り回している。毛刈りを乱暴に行うため、羊たちは毛だけでなく皮膚や睾丸なども一緒に切り取られる。

 毛刈りが終わった後は傷だらけであったり、立てなくなって毛刈り小屋から這って外に逃げ出そうとする羊たちの姿がある。ありとあらゆる虐待が行われていることが、100以上の農場の調査で明らかになっている。

 特にオーストラリアのウールは、皮膚の面積を大きくするために品種改変で皮膚がひだ状になっているため、お尻付近のひだの間に糞がたまり、うじが湧く。それを防止するために幼齢のときにお尻の皮膚と肉を切り取る。これをミュールジングという。ついでにしっぽも切り取ってしまう。

 ミュールジングを行わないことを証明する認証マークがあるが、前述の通り、ウールの毛刈り自体が残酷であるため認証は意味を成さない。大量生産の中で、福祉的な扱いを期待すること自体が無理な話なのだ。

 カシミヤ

 高品質だと考えられているカシミヤの90%が中国とモンゴルで生産されている。カシミヤに使われるのはヤギの冬毛だ。

 毛を刈ると粗い毛まで一緒に採取してしまうため、くしで毛をすいて採取する。「くしで毛をすく」と言われれば、残酷なことはなにもないようなイメージだが、実態は違う。

 作業員はヤギを引き倒し、地面に叩きつけ、手足と角を縛って身動きを封じ、大きな鉄のクシで乱暴に毛を引き抜いていくのだ。

 ヤギの悲鳴を聞いたことはあるだろうか。毛を引き抜かれるとき、人間の男性の叫び声のように、ぎゃーっと叫ぶ。とても聞くに耐えるものではない。

 乱暴であるため、ウールと同じく、足が不自然に曲げられ立てなくなり、膝をついて這うヤギの姿も目撃されている。

 モヘヤ

 モヘヤに使われるのはアンゴラヤギという長毛のヤギだ。多くのモヘアは南アフリカで生産される。

 生後6ヵ月の赤ちゃんのときから毛刈りが始まるが、ある業者は、毛刈りが始まる前までに25%のヤギが死亡すると証言している。

 ヤギの足や角をつかんで引きずり、床に乱暴にひっくり返し、大きなハサミはで毛を刈り取りとる。もがくヤギを押さえつけ、時には肉を斬り裂く。

 ウルトラファインウール

 新たな素材として広がったものもある。超微細ウールと言われるウルトラファインウールだ。

 羊たちは小さな檻に単独で入れられ、食べ物を制限され、ホコリがつくのをふせぐカバーをかけられ、細い毛を生み出します。5〜15%の羊がこの環境に適応できず、餌を食べなくなる。

 このような新たな素材が今後も生み出されないとも限らない。商用に流通するすべての動物性素材の裏側には、必ず隠された残酷さがあることを忘れないでほしい。

 これら残酷な生産方法によって得られた製品は、広まるのは早く、収束するのには時間がかかるのだ。


シャネル、グッチ、プラダ…
 ありがたいことに、動物性素材を離れる動きが加速し始めている。

 シャネルとグッチはファーとともに、アンゴラとエキゾチックレザーの使用を廃止した。プラダはファーもアンゴラもやめた。

 日本企業はまだ多くはないが、日本のナンバーワンのアパレル企業であるユニクロもファーとモヘアの使用を廃止した。ユニクロを始めとして、複数の企業がダウンのリサイクルを始めている。H&MもZARAもモヘヤやアンゴラの取り扱いをやめている。

 新たにアニマルフリーの素材が次々と生み出されていっている。ダウンよりも暖かい中綿、アンゴラよりも温かい繊維、ウールより保湿性が高い素材、しかも環境負荷を考慮し化繊もやめ植物性でそれらが作られ始めている。

 例えばパイナップルの皮から作られるレザーや、植物からできた温かい繊維など、競争が激化していっている。日本企業もこの分野で力を発揮している。

 これまで多くの動物性素材の醜悪な実態が動物権利団体によって暴かれてきた。その実態調査がなければ前述の企業も動かなかっただろう。

 これまでアパレル企業はもしかしたら実態を知った上で売っていたのかもしれない。もしくは知らなかったのかもしれない。

 いずれにせよ、企業は消費者が真実を知るまで、できるだけ長くこのような残酷で安い素材を利用して儲けようと考えており、今もまだそのようなアパレル企業が多数ある。

 消費者が実態を知り、行動しなければ、企業は変わらない。そして問題を解決しようと、企業が本気で取り組み始めたとき、初めてイノベーションが起きる。その変化はすばらしいことだと感じる。

 消費者はこの素晴らしい変化に簡単に加わることができる。動物性素材を使う商品を買わなければいいだけなのだ。

 暴力を内包し、搾取することを当たり前と思う社会は心地よいものではない。エシカルな社会を目指すことは、誰にとっても損のないことだ。たとえそれが、動物を搾取している企業で働く人にとっても、長期的な視野を持ってさえいれば――。

岡田 千尋(NPO法人アニマルライツセンター代表理事)
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猫問題、漫画で解説  適正飼養と希少動物保護へ全戸配布 奄美大島5市町村


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島内5市町村でつくる奄美大島ねこ対策協議会(事務局・奄美市環境対策課)はこのほど、「飼い猫の適正な飼養及び管理に関する条例」を啓発する漫画「精霊戦隊 ネコレンジャー」を作成した。条例で定めた猫の飼い主の義務などを分かりやすく紹介している。島内の全3万2千世帯に無料配布する。

 条例は猫の野生化を防いでアマミノクロウサギなどの希少な野生動物を保護する目的で、5市町村が2011年10月に施行した。

 各市町村への飼い猫の登録やマイクロチップの装着、屋外で飼う場合の不妊手術などを義務付け、遺棄や野良猫への餌やりなどを禁じた。違反した場合は5万円以下の過料が科される。

猫問題、漫画で解説  適正飼養と希少動物保護へ全戸配布 奄美大島5市町村
イベントで披露された精霊戦隊ネコレンジャーの寸劇=2019年12月、鹿児島県奄美
 漫画は島内の行政、民間の有志がイベントなどで披露した猫の適正飼養をテーマにした寸劇を基に、一般社団法人奄美猫部(久野優子代表)が制作した。猫と野生生物と人間が幸せに暮らせる社会を目指すネコレンジャーの活動を通して、条例の順守を呼び掛けている。

 久野代表は「猫問題に無関心な人はまだまだ多い。猫を大切に飼うことで人間も幸せになる。深刻になりがちな問題をユーモラスに紹介している」とPRした。

 5市町村の飼い猫の登録数(19年10月末現在)は4757匹。不妊手術率は46・3%と約半数を占めるが、条例で義務付けられたマイクロチップの装着率は24・9%にとどまる。

 奄美大島ねこ対策協議会会長の平田博行・奄美市環境対策課長は「環境保全のためには飼い猫、野良猫、ノネコ(野生化した猫)の対策を総合的に進めることが必要。子どもからお年寄りまで幅広い層に条例を浸透させたい」と語った。

奄美の南海日日新聞

【関連記事】
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仏カルフール、動物福祉の卵販売へ 生まれる前に性別判定

ニッポン消費者新聞



仏スーパー大手のカルフールは鶏卵生産業者とタッグを組み、卵の段階で雄雌を判定する技術を導入する。仏政府は2021年末をめどに雄ヒナの殺処分を禁止する意向で、こうした動きに対応した。欧州では動物福祉(アニマルウェルフェア)の観点から複数の虐殺防止プロジェクトが進められており、18年末ごろから数量は少ないながらも動物福祉対応のブランド卵が流通しているという。

鶏卵生産業者Les Fermiers de Loueが独AAT社の技術を導入し、卵の生産をおこなう。高度な光学式選別機を用いて卵の段階で雌雄を判定する仕組みで、雄の卵を排除し、雌ヒナのみを産卵鶏に育てていく。通常の生産現場では、生まれたばかり(1日齢)のヒナの段階で性別を判定し、雄ヒナはすぐに殺処分されていた。

ただし、新技術による生産はコストがかさみ、Les Fermiers deLoue幹部は「鶏1羽あたり1ユーロ、卵1個当たり約1セントの追加費用がかかる」とコメント。約3万羽の規模で卵を生産し、カルフールの店頭に並ぶのは5月になる予定だという。

欧州では2018年以降、独仏を中心に動物福祉に対応した卵の生産が徐々に拡大。雄ヒナの殺処分防止だけでなく、産卵鶏を早期処分せず、寿命をまっとうさせる取り組みも行われている。こうして生産された卵は非常に高価だが、売れ行きは好調だという。
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2020年03月13日

「明日殺されるのに…」獣医大の驚くべき実態、学生たちの苦悩 全国の獣医大を取材してわかったこと

livedoor


実習にショックを受ける学生たち
「外科実習の前日に実験犬を犬舎から外に出すと、しっぽを振って大喜びします。翌日には殺されるのに……切ない」「バケツにどんどん死体を捨てた」――。

広告

憧れの獣医師になるために大学に入ったら、犬、牛、鶏、ラットなど多くの実験動物を傷つける実習にショックを受ける学生がいる。

最近は、動物が本来の行動ができて幸福な状態であるべき「アニマルウェルフェア」(動物福祉)を重視し、健康な動物を傷付ける実習を減らして練習用の模型など代替手段を取り入れ、治療を要する動物の臨床実習に力を入れる大学が出てきた。

しかし一方で、狭くて汚いケージに実験動物を閉じ込め、麻酔の失敗で動物が苦しんだり、術後のケアも不適切だったりする事例があることが取材で分かった。

私は2017年から2年間かけて、獣医大関係者らの証言、国公立獣医大に情報公開請求した動物実験計画書などに基づき、各地の獣医大を取材した。

全17の獣医大に取材を申し込み、そのうち2大学が飼育施設、1大学が臨床実習の見学をさせてくれた。

取材を始めたきっかけは、動物保護団体「Cruelty Free International」(本部英国)が17年1月に日本の2獣医大の犬舎の動画と写真をインターネットで公開し、狭くて糞尿臭いケージに実験犬を閉じ込めているなどの状況を暴露したことだった。

写真提供:Cruelty Free International

団体は文部科学大臣に「近年獣医師を目指す人には命を尊重する心を養うことが求められ、故意に動物を傷つけることに懸念の声が高まり、英米、カナダなどでは実験動物を授業で使うことを止めた獣医大、医大が多くあり、代替法や臨床実習に力を入れています」として、犬の侵襲的(傷付ける)な実習をやめるよう要請文を提出した。

ちなみに英国では実験動物で手技の練習をすることが法律で禁じられている。16年には米、カナダの全医学部で生きている動物を使う実習が廃止された。

残酷な5日間連続手術
日本の獣医大の「実習」とは、実験動物で解剖、手術の練習などを行うものと、動物病院に連れてこられる病気の犬猫、農場の病気の牛・馬などを診る臨床実習の2種類がある。

日本は長らく実験動物の実習に頼り、臨床実習は「ほとんど見学」(大学関係者)という状態が続いてきた。

ある獣医大の実験犬。後ろ足に何か処置がされている

例えば犬の外科手術は日本では、1日で終えて安楽死させるのが一般的だ。しかし日本獣医生命科学大(東京都武蔵市)では、連続5日間同じ犬の開腹・開胸手術をしていたことが分かった。

1日目に不妊去勢、2日目に脾臓の摘出、3日目に腸管吻合、4日目に骨盤から大たい骨を外す、5日目に肺の切除、という内容。

毎日、手術をして麻酔から覚めたら翌日再び麻酔をかけて体を切ることを繰り返し、「犬は痛がってキューン、キューンと泣き叫んでいた」(卒業生)。

5日間連続手術について、動物実験に詳しい獣医師は「通常の不妊手術でも、雌犬は術後数日間は非常に痛がる。残酷極まりない。これは動物愛護管理法にも違反する行為ではないか」と憤った。

少なくともこの方法を30年以上続けていたが、ある学生が外部の組織に訴えて翌年から中止された。

同大に事実関係を問うと、17年8月に河上栄一獣医学部長名の書面で「ご指摘の通り、4年前までは実施していました。しかし、現在は1日のみ生体を使用することに変更しました」などと返答があった。

大阪府立大も外科実習で、同じ犬を3回開腹・開胸手術で使っていたことが分かった。

同大に今後の方針を聞くと、岡田利也獣医学類長名の書面で「18年4月から外科実習の犬を半分に減らす予定」と回答があり、今年再び質問すると、「19年4月以降、外科実習で実験犬を用いておりません」(岡田氏)とのことだった。

実験動物の実習について、獣医大卒業生は「医学部では、生きている人間を手術の練習台にせず、御献体を使い、臨床実習で学ぶ。獣医学部なら動物を犠牲にしていいとは思いませんでしたが、教員に理解してもらえず、仕方なく授業を受けました」と打ち明けた。

麻酔せずに放血殺して…
酷い話は犬にとどまらない。

酪農学園大(北海道江別市)で09年、北里大(青森県十和田市)で14年、実験牛を麻酔せずに放血殺して解剖に使っていたことが学生の内部告発によって明らかになった。告発文には「子牛は首をずばっと切られたとき、モーモーと苦しそうに大きな叫び声を上げた」などと記されていた。

両大学は事実関係を認め、「獣医学部においては、研究、教育いかなる場合においても、牛の無麻酔放血殺は廃止してます」(北里大)などと明言し、「16年から全身麻酔をかけた後、筋弛緩薬で呼吸停止を確認。以前は麻酔下での放血も認めていましたが、今は放血はやっていません」(山下和人酪農学園大教授)としている。

ある獣医大学の実験牛。実験の有無に関わらず、短い鎖でつながれたままになっている

最近は山口大、鹿児島大などが、犬などの侵襲的な実習を廃止(牛、豚、鶏など産業動物の解剖実習を行っている大学はある)して、精巧な外国製の模型を購入して念入りに練習した後に臨床実習に臨み、保護犬猫の不妊去勢手術でシェルター・メディシン(保護動物の群管理)教育を始めている。

ただし、取材に応じてくれた大学がごく一部に限られ全体像がつかめない。また生きた犬の使用はやめても、実験動物の業者から購入した死体を使っている大学もある。

麻酔が切れてラットが暴れ出し…
さらに最近の取材で、ラット、マウスなどの実習で不適切な扱いがあることが分かった。

例えば北里大では、教員がラットに麻酔を実演した後にやるのだが、大学関係者によると、「薬を充満させた瓶の中に入れて麻酔をかけたのですが、学生は教員から麻酔薬の量について明確な指示もなく、加減が分からず適当に入れました。すると解剖の途中で麻酔が切れてラットが暴れ出した。二酸化炭素を充満させた瓶に入れて死なせたが、腹から血が流れ出していた。その場で、『やばいね〜』『殺害だね』という声が上がりましたが、そのままラットの体を切り続けている学生もいた」という。

術後の処置にも問題を感じた。北里大の実習では、ラットの卵巣を切除してクリップで縫合後、ケージに戻したが、「ケージは糞尿だらけ。さらに複数のラットを同じケージに入れるので、クリップをかじり合って傷口が化膿してしまった」。

金網のケージ内に、巣箱など動物の行動欲求を満たす環境エンリッチメントの用具は何もなかった。

獣医学的ケアに詳しい関係者は「金網は足裏を痛めます。せめてタオルを入れれば、寒さから身を守れて、くるまって眠ることもできます。本来は、飼い方と術後ケアも含めての教育ではないのでしょうか」と指摘する。

この他、脊髄反射を見るために、上顎をはさみで切って頭がない「脊髄ガエル」を作る生理学の実習がある。「切る場所がずれると、『はい、別のカエル』と次々と取り換えた記憶が今も頭から離れない」と語る学生もいる。

私はこれらの事実確認のために、北里大の高井伸二獣医学部長に今年2月に質問書を送ったが、返答はなかった。

学生たちの「本音」
保定(動物が動かないように押さえておくこと)や腹腔内投与などの練習ができるマウスの模型をいくつか導入した獣医大でも、必ずしも模型を十分活用しているとはいいがたい実態がある。

麻布大(神奈川県相模原市)ではマウスを使う実習で、模型はあったが、「教員は『模型もありますよ。高いから壊さないでね』という感じで、全員が練習をみっちりやりなさい、という感じではなかった」と学生。

生きたマウスは一人1匹ずつ与えられたが、「しっぽに生理食塩水を静脈注射する練習でも暴れたので、何度もしっぽをひっぱり、マウスが疲れ果てるまで繰り返してました」。最後は麻酔薬を過剰投与して安楽死させ、解剖して臓器の位置を確認した。

実験マウスは「どんどん繁殖するので時々間引きされています。毎日『今日実験、実習に使われるのはこの子』と見送っているうちに、動物実験に嫌悪感を覚えるようになった……」と打ち明ける学生もいた。

有精卵の中にウイルスを投与して1週間後に胎児を取り出す実習もあった。「グロテスクだった。胎児には血管が通い、ひよこの形をしていた。細胞培養するため臓器を次々取り出して、バケツにどんどん死体を捨てた。嫌になりました」

私はこれらの点について、麻布大に2月に質問したところ、村上賢獣医学部長名の文書で「代替法教材を積極活用するとともに、動物の福祉に配慮した実習を行っております。また臨床実習におけるシェルター・メディシンの導入を検討しています。動物福祉の取り組みについては、ホームページなどで公開することを準備してますので、今後はそちらでご確認ください」と返ってきた。

このような実習に疑問を抱いている学生が気持ちを吐露した。

「どの実習も殺すほど必要だった、と納得したことがない。今は優れた模型もあり、代替法や動画で十分学べると思う」
「教員に実習の必要性について尋ねたら、『必ずしも必要ではないが、まぁやっとけば』『私もよく分からない』と返ってきました」
「教員から『自分たち専門家は一般の人と考え方が違う。外で実習の話をするな』と言われました」

中には「このような授業を受け続けると、学生全員が良心の欠如した人間になってしまうのではないか」と訴える学生もいる。

日本の動物実験はどこへ向かうのか
実習については、獣医大学が加盟する「全国大学獣医学関係代表者協議会(JAEVE)」の稲葉睦会長(北海道大大学院教授)が17年12月に東京大で開かれたシンポジウムで、「実習での生体利用は可能な限り減らす方針で、全国の大学の共通理解だと思っており、今具体的な取り組みを進めています」と発言した。

JAEVEは「代替法検討委員会」を設置しており、私は今年1月に久和茂(東京大大学院教授)会長に委員会の進捗状況を聞いたところ、メールで「公表できる状況ではありません。教育改革には非常に多くの課題があり、少しずつ改善作業を進めているところです」などと返信があった。

私は3年前から何度もこの件でJAEVEに質問しているが、返事をもらったことがない。

生理学、解剖学などでの小動物、両生類の使用については、「健康な状態の臓器を生で見る必要がある」という大学教員の主張をこれまで何度か聞いてきた。どうしても生体実習が必要というのであれば、以下のことを守るべきではないかと思う。

まず動物実験(実習を含む)の国際原則である3R(細胞やコンピューターなどできる限り代替法を活用する、使用数を削減する、できる限り苦痛の軽減を図る)を守ること。

3Rは、1959年に英国で研究者の倫理基準として提唱された。3Rは動物愛護管理法で理念に過ぎないが、代替法と削減は配慮義務、苦痛軽減は義務として明記されている。

日本の動物実験施設は自主管理体制で、自治体への届け出義務すらないため、施設内で実際に何が起きているか外部からは分からない。

獣医大は、動物実験計画を審議する学内の動物実験委員会で個々の実習の必要性、苦痛軽減の方法などについて議論を尽くすべきではないだろうか。

「動物福祉は世界の規定路線であり、健康な動物を傷付けたり、殺したりする実習は廃止していくべきです」と明言するのは獣医倫理学が専門の高橋優子酪農学園大准教授。

「例えば犬の解剖をするなら、飼い主の理解を得て病院で死んだペットを『献体』としてもらったり、保護したけれど死んでしまった犬を動物愛護団体から頂いたり、自然死した野犬を使ったり、あらゆる手段を尽くすしかない。結果が分かっていることを確認する実習は、動画やコンピューターなどで代替が可能です。手技を学ぶには、模型などで何度も練習を積んだ上で、臨床実習に注力すれば良いでしょう」とする。

獣医大学は教育機関として、学生が納得するような倫理的実践を示してほしい。

そして実習は動物実験でもある。アニマルウェルフェア重視の動きが世界的に広がる中、これが獣医大だけの問題ではなく、医薬品、化粧品、食品、化学製品などあらゆる分野で行われている動物実験にも共通することであることを、その恩恵を受ける私たちも認識する必要があるのではないだろうか。
posted by しっぽ@にゅうす at 08:16 | 動物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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