動物 しっぽニュース
認定NPO法人HOKKAIDOしっぽの会

2017年08月21日

犬やカメ、フクロウも…警視庁に届く動物、年1000件

朝日新聞


 犬や猫、鳥やカメ、はてはフクロウやハリネズミまで……。警視庁にはさまざまな動物が「落とし物」として届く。昨年の届け出は約1千件。傘や財布と違い、こうした落とし物が困るのは、放っておくと、体が弱ったり、死んでしまったりすることだ。警視庁は慎重に取り扱い、飼い主に返している。

特集:どうぶつ新聞
 5月下旬の午後。上野署に、東京都千代田区に住む男性会社員(30)が慌てた様子で飛び込んできた。会計課の入り口で、保護されてケージに入った大型インコのヨウムと「再会」すると、表情は一気に緩んだ。

 ヨウムはアフリカ西海岸の森林地帯に生息。体長30センチほどで、知能が高く、人の言葉をよく覚えることからペットとして人気がある。男性は2年前に25万円で購入。可愛がっていたがこの日の午前6時半ごろ、窓を開けた隙に外に飛んでいったらしい。

 逃げたとみられる1時間ほど後、「ペットと思われる鳥が道路を歩いている」と110番が入った。保護されたヨウムの情報は署から連絡を受けた鳥の愛好家を通じてネットで広まり、飼い主につながった。

 「おなかをすかせているはずだ、と会社を早退して署に来たら水を飲ませ、餌まで与えてくれていた。丁寧に扱ってもらい、感謝です」と男性は頭を下げ、鳥と帰っていった。

 遺失物法上、ペットは「準遺失物」にあたる。警視庁では各署に動物保管用のケージを常備し、署員が餌をやりながら持ち主を捜す。必要なら一緒に散歩もする。特殊な動物の場合はインターネットや動物園を頼りに種類を特定し、飼い方を調べるという。

小型犬ブームもあり、最近は室内で飼われるペットも多い。首輪を付けていない犬が拾われ、飼い主の特定が難しいケースも目立つという。マイクロチップを体内に埋め込んだ動物が増えつつあるため、警視庁遺失物センターは一昨年、読み取り機を各署に配った。

 落とし物の保管期限は3カ月。だが動物の場合、そうはいかず、一両日中に飼い主が現れなければ、警察側で預かり手や引き取り先を見つける。拾ってくれた人が引き受けてくれることもあれば、ペットショップや動物園、学校に頼むこともある。

 センターによると、昨年1年間で警視庁に届けられた動物は1082匹。犬が575匹で最も多く、インコが140羽、猫が133匹、カメが71匹と続いた。このうち飼い主に返されたのは、犬猫で約7割。それ以外の動物は約2割だった。センターの大久保昭二所長は「なかには捨てられた動物もいると思うが、飼われていた形跡があれば飼い主を全力で捜す。専門家ではないので扱いは大変ですが……」と話した。(西村奈緒美)


posted by しっぽ@にゅうす at 07:22 | 動物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月19日

「現場はぎりぎり」家畜往診の獣医師 ペット診療は飽和 偏在がひずみ生む

Yahoo! JAPAN


牧草やサツマイモの畑が広がる鹿児島県有数の畜産地帯、大崎町。7月下旬、冨山保博さん(68)は人工授精器や薬40種を積んだワゴン車を走らせた。家畜を診る「産業動物獣医師」。速乾性のTシャツ、かっぱのズボン姿で農家を回る。

 雌牛の発情周期を知るため、ビニール手袋を着けた腕を尻に入れ、直腸からふんをかき出し子宮を触る。高熱や下痢…。症状に合う薬を注射する。この日は11戸を往診。角が折れた牛の治療を頼んだ女性(79)は「牛はもの言わんから先生が頼り」。深夜の出産にも立ち会う冨山さんは「汗と血とふん尿まみれ。好きじゃないと続かん」と言う。

 東京の獣医大を卒業後、故郷の鹿児島に戻り県職員獣医師として食肉衛生検査所で働いた。ベルトコンベヤーで流れてくる豚の内臓から病気の有無を調べる仕事。「牛を診る方が性に合う」と39年前に独立した。

 7年前から犬や猫のペットも診る。環太平洋連携協定(TPP)参加の議論が始まり、畜産の将来に危機感があった。「時代が変われば、獣医師も変わらんと生き残れん」

 学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部新設を巡る問題で獣医師にかつてなく注目が集まる中、冨山さんは「結局、地域や職種で事情はばらばらだ」と話す。

「現場はぎりぎり」家畜往診の獣医師 ペット診療は飽和 偏在がひずみ生む
猛暑の中、防護服姿で農家に聞き取り調査をする宮崎家畜保健衛生所の大山えり香さん(奥)=宮崎市
朝から18戸を往診
 「現場はぎりぎりです」。畜産農家が密集する宮崎県国富町で、農業共済組合に勤める30代の男性獣医師はため息をつく。

 男性も産業動物獣医師だ。朝から18戸を往診、夜はカルテの整理。週1回の宿直では緊急診療に対応する。高齢化や後継者不足で零細農家は廃業。大規模農家が増え、病気予防のノウハウも求められるようになった。だが人手不足で「診療とコンサルタント、両立は難しい」。

 疲労で交通事故を起こした同僚もいた。「畜産の未来を考え、産業動物の獣医師をどう確保するかの議論がないのが歯がゆい」。男性は、加計学園を巡る国会論戦を苦々しく見ていた。

4割がペット診療
 全国の獣医師は約3万9千人。4割がペットなど小動物診療に携わり、公務員は2割強、産業動物診療は1割。毎年、国家試験に合格して獣医師になる約千人の進路も同じ傾向で「偏在」がひずみを生んでいる。

 家畜防疫や食肉検査を担う公務員獣医師。鹿児島県が2008年度にはじき出した必要数は237人。当時、15人不足していた。県はその年から採用年齢を引き上げ、翌年度からは最大月3万円の手当支給や奨学金制度を導入した。

 10年の家畜伝染病「口蹄(こうてい)疫」発生時に県外からの応援で対応した宮崎県も同様の対策を打った。両県とも「今は足りている」とするが、出産などで退職した女性を再雇用したり、定年退職者を再任用したりして支えられる側面もある。

 加計学園が計画する新獣医学部の定員は当初、1学年160人とされた。「どれだけの人が公務員を選んでくれるだろうか」。防疫指導で1日10戸以上を回る宮崎県の家畜保健衛生所の大山えり香さん(41)は、疑問を感じている。

16(水) 10:18配信 西日本新聞
 鹿児島大共同獣医学部が昨年、鹿児島県大崎町に開設した研修センターでは産業動物診療への志望者を増やす狙いもあって近隣の農業高校と連携し、実習に取り組んでいる。

 今月初め、6年生3人は同県鹿屋市の鹿屋農業高を訪ね、牛の直腸検査の実習に臨んだ。参加した辻圭吾さん(24)は悩んだ末、東京のペット診療病院への就職を決めている。ペット診療は飽和状態とも言われるが「どれだけ増えても、自分の腕を磨いて独立を目指すだけだ」と言う。

 前鹿児島県獣医師会長の坂本紘・鹿児島大名誉教授(獣医外科学)は「職種と地域の偏在是正が課題。『総理の意向』や『文書の有無』より、日本の獣医療を今後どうしていくのかが本質であり、国で議論されるべきだ」と指摘する。

西日本新聞社


posted by しっぽ@にゅうす at 00:13 | 動物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月16日

道、保護区でシカ捕獲 「30万頭以下」達成狙い 今冬から

北海道新聞


道は今冬から、野生鳥獣の捕獲を規制する鳥獣保護区などの一部で、エゾシカの捕獲事業に乗り出す。道は「2021年度末までに推定生息数30万頭以下」を目指すが、シカが保護区内へ逃げ込み、全体の捕獲数が減少傾向にあるためだ。保護区でのエゾシカ捕獲は、道や環境省が一部地域で試験的に実施した例はあるが、全道規模で本格的に行うのは初めて。秋までに対象地域を選定する。

 鳥獣保護区では原則として、エゾシカなどの捕獲は制限される。ただ、鳥獣保護法に基づき、生息数が著しく増え、生息地が拡大している鳥獣の管理が必要な場合は、道が策定する「管理計画」により保護区で捕獲できる。

 今回の事業を前に、道は15〜16年度に保護区を含む道内9カ所で試験捕獲を行い、552頭を捕らえた。道エゾシカ対策課は「一定の効果があった」とみて、3月にまとめた第5期管理計画(17〜21年度)に、推定生息数の目標数や保護区での捕獲事業の実施を盛り込んだ。

 対象地域は、被害状況や出没頻度などを分析して選定する。全道の保護区や道有林など12カ所程度となる見込みで、国定公園を含める可能性もあるという。

 生け捕りにする「囲いわな」やハンターによる銃での猟を検討しており、道が一定の技能や安全管理体制を持つと判断した民間の認定事業者に委託する。事業費約8400万円のおよそ半分は国の交付金を充てる。

 16年度の道内のエゾシカの推定生息数は、東部地域(オホーツク、十勝、釧路、根室の各管内)と西部地域(空知、石狩、胆振、日高、上川、留萌、宗谷の各管内)で計45万頭。最多の10年度より23万頭減ったが、16年度末までに38万頭以下にするという道の目標は達成できなかった。

 16年度の捕獲数も11万6千頭とピークの12年度より2万8千頭減少した。「聖域」化した保護区内に逃げれば捕獲されないと学習したエゾシカが増えたことや、「そもそも母数が減った分、遭遇の機会も減り、捕獲が困難になっている」(エゾシカ対策課)事情もある。


posted by しっぽ@にゅうす at 07:33 | 動物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月15日

台湾、犬猫「殺処分ゼロ」から半年 一見成功も水面下に課題、破綻の懸念も

産経ニュース


台湾で公立の動物保護施設での「殺処分ゼロ」が始まってから、今月で半年が経過した。当初指摘された、施設が「満員」となり生育環境が悪化する懸念は外見上現実のものとならず、政策は順調に進んでいるようにみえる。だが、民間の動物愛護団体は、水面下で進む将来の破綻の可能性を指摘している。

 「殺処分は職員の心理的な負担が大きかった。今は仕事に臨む気持ちが違う」

 台北郊外・新北市の動物保護防疫処の陳淵泉処長はこう話す。「殺処分ゼロ」の改正法が成立したのは2015年2月。保護施設での殺処分の惨状を描いたドキュメンタリー映画がきっかけだった。16年5月には、保護施設の責任者の30代女性が心労から殺処分用の薬品で自殺し、世論は「殺処分ゼロ」を後押しした。アジアではインドに次ぎ2番目として注目された。当初、施設が「定員オーバー」となる可能性が指摘されたが、行政院農業委員会(農林水産省に相当)動物保護課によると、全土で33カ所ある公立施設の平均収容率は現在約80%で、今年2月6日の法施行の前後でほぼ変化はない。

最大の要因は、施設から一般家庭などへの犬・猫の譲渡率が11年ごろから急増し、今年上半期で8割と各国と比べても非常に高いことにあるという。譲渡率の高さについて、同課の江文全課長は「『犬は買うものではなく引き取るものだ』という小学校での教育や、雑種でも受け入れられるよう特定の品種犬を宣伝しない意識が普及した成果だ」と話す。

 全土の野良犬・猫の総数が推定約15万匹なのに対し、全施設の収容可能数は計7150匹という。現状では平衡を保っているように見える「殺処分ゼロ」政策だが、財団法人「台湾防止虐待動物協会」は将来の破綻の可能性を指摘する。かつて譲渡率が上昇したのは、収容犬の多くが捕まえやすい子犬や小型犬だったためだという。施行後の「入り」の抑制策により捕獲の重点を凶暴な犬や大型犬に移したことで今後、一般家庭の引き取りは難しくなると見ており、「将来、施設が満員になり、犬や猫にとって厳しい環境になるのではないか」(邱于軒専門員)と懸念している。(台北 田中靖人)


posted by しっぽ@にゅうす at 07:43 | 動物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月13日

具体的な動物救助事例はもっとシェアされるべき

リスク対策.com


私の消防関係者ネットワークで知り得たことですが、実は日本でも日々、さまざまな動物救助が行われています。しかしアメリカではニュースとなるような事案であっても、日本ではできるだけ広報しない現状にあるようです。

Dramatic Images Show Dog Being Freed From Tire Around Neck (出典:YouTube)

その理由を消防関係者の方々に聞いてみると、命に危険のある動物を救出する行為を消防の装備を使って行ったことで「本来の業務なのか?」とか「動物を助けるために税金を払っているのではない」などの一部の市民からクレームが来る可能性があることと同時に、メディア対応にも慣れていないからだそうです。

自衛隊の今年のポスター「守りたい命がある」を見て下さい。命に対しての本気度を1枚の写真から感じます。


(出典:自衛隊ホームページ)


■下記のキーワードで検索するとたくさんの動物救助が見られます。
「firefighter poster rescue dog」「自衛隊 犬 ポスター」

また、Facebook上の世界の消防署が発信しているページでも、さまざまな消防による動物救助事例やシーンが映像や画像で紹介されています。こういうメディアの使い方こそ、本気の消防広報だと思います。

たとえば、インディアナポリス消防局の動物救助事例

■Indiana Police Fire Department のFBページ
https://www.facebook.com/indianapolisfiredepartment/posts/1010759928942534

なんと4万人以上の方々が、このインディアナポリス消防局の動物救助事例について賞賛しています。

記事の概要を説明します。インディアナポリス消防署第5分署に、ジェシカという女性が車のタイアのリムに頭が挟まった状態のメスのピットブルを連れてきました。その雌犬の名前は「ジマ」で、近所でよく見かける1歳半の野良犬でした。


タイヤリムに頭が挟まってしまったジマ(出典:インディアナポリス市消防局のFB)
犬を連れて駆け込んだジェシカは、普段からこの犬にえさを与えており、帰宅後にえさを与えようとジマを探したところ、タイアリムに頭が挟まった状態のジマを見つけ、獣医などのアドバイスを受け、日頃からレスキューを行っている消防署に連れて行ったそうです。

駆け込んだ消防署では、交通事故などで使う小型の油圧や空気圧の切断・開放などの救助器具を持っていなかったため、ほかの署に応援要請し、2隊合同で犬の救助を行いました。


消防士たちの懸命な救助活動が開始された(出典:インディアナポリス市消防局のFB)
まず、石けんやサラダオイルを犬の首に付けて滑らせながら引き抜こうとしましたが引き抜けなかったため、車のブレーキペダルを切断する工具を使用して、リムにいくつかの大きな切れ目をつけ、リムの切れ目をさらに開くためにスプレッダーという油圧器具を使用しました。救助には1時間以上掛かりましたが、無事に成功しています。


救出されたジマ(出典:インディアナポリス市消防局のFB)
また、ジェシカがジマの里親になり、ずっと一緒に暮らすことを消防士達に告げたところ、ジマを助けた消防士達が心から拍手でお祝いし、ジェシカとジマの幸せを祈りました。

この動物救助事例で消防士達が気をつけたことは以下でした。

・犬を励まし、がんばっていることを褒め続けた。

・恐怖による犬の心臓への負担を考え、連続的な救助は行わず、少しずつ、休憩しながら行った。

・音が出たり、振動の大きい救助器具を使わなかった。

・油圧器具も一箇所に力が掛かるとひずみにより、動物の首を絞めたり、簡単にはひずみを戻せないため、2つ以上の油圧器具をバランス良く使いながらタイアリムの解体を行った。

・石けん水やサラダオイルを犬の首の部分に付けて、滑りやすい状態にしてタイアリムから外そうとしたが抜けなかった。

・サラダオイルを使ったため、熱や火花を発生しない救助器具を選択した。

いかがでしたか?

日本でも、こういう貴重な動物救助事例の対応手順や使用資機材などを、関係者の許可を得て公表することで、さまざまな救助器具の応用的な活用事例としても、その内容は確実に生かされると思います。

また、現代は消防の救助事案が少ない現状にもあり、これがもし人間の子どもだったときにどうするのか?その救助事例の参考にもなると思います。

消防士の皆さん、どう思いますか?一般社会に公表するのが難しくても、救助学会などでさまざまな動物救助事案なども発表されるべきだと感じますが、いかがでしょうか?

動物救助事案として、それに特化した事例集を作ってもいいかもしれませんね。

みなさんのコメントをお待ちいたしております。

ペットライフセーバーズ

http://petsaver.jp
info@petsaver.jp
posted by しっぽ@にゅうす at 06:25 | 動物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

絶品「1本1100円の牛乳」は牛の幸福度が違う 酪農業界の常識を破る「なかほら牧場」の挑戦

Infoseek


松屋銀座(東京・中央区)の地下で、売り場の一角を占める「なかほら牧場」の店舗。ソフトクリームやバター、ヨーグルトドリンクなどの乳製品がずらりと並ぶ中、ひときわ目を引くのが、大きな瓶に入った牛乳だ。

値段は、720mLで1100円(税別)。リッターあたりに換算すると1600円以上だから、200円程度の市販の牛乳と比べると、約8倍。決して買いやすい値段とはいえないが、一番の人気商品だ。「一度飲んだらやめられないと、定期的に買いに来られるお客様もいます」(店舗スタッフ)。いったい、この値づけにはどのような背景があるのだろうか。

■「牛乳パックの風景」は当たり前じゃない
岩手県下閉伊郡・岩泉町の標高700〜850mの北上山地に、この牛乳を生産する「なかほら牧場」はある。

まず目に飛び込んできたのは、山の稜線をのんびり歩く乳牛たち。市販の牛乳パッケージによく描かれる風景なので、多くの消費者は牛を飼う牧場ではこれが当たり前だと思っているかもしれない。だが、実際のところ日本ではほとんどが牛舎酪農であり、多くの牛は草地を自由に歩くことがない。ここは牧場長・中洞正氏が自らの理想である山地(やまち)酪農を実践する、日本では珍しい牧場なのだ。

中洞氏の酪農は、昨今急速に浸透してきた「エシカル(倫理的)消費」という考え方にもかなう。エシカル消費とは、環境や社会に配慮した製品やサービスを選んで消費すること。

その要素の1つに、人間のために犠牲になる動物の尊厳を重んじる、“アニマル・ウェルフェア(動物福祉あるいは家畜福祉)”という考え方がある。動物愛護の観点から、いっさい動物性食品は口にしないビーガン(VEGAN)も増えているが、世界中で人間に利用される動物の数は600億と言われ、その廃絶は困難だ。そこで、より現実的な考え方として打ち出されたのが、人間の動物の利用は可としながらも生き物としての尊厳に配慮するアニマル・ウェルフェアだ。なかほら牧場の酪農は、この考え方と本質的に一致している。

アニマル・ウェルフェアの重視が叫ばれるようになった背景にあるのは、畜産現場の劣悪な飼育環境だ。

日本では、生産効率を上げるための工場畜産が一般的で、畜舎での牛の囲い飼いやつなぎ飼い、豚のストール(食用豚繁殖のために母豚を拘束するおり)飼育、食用鶏の密飼い、採卵鶏のケージ飼い等、動物の行動する自由を著しく奪う畜産が行われている。乳牛の場合、牛舎内では危害を及ぼす可能性のある角が切り取られ、搾乳作業の邪魔になる尻尾も切られてしまっていることは多い。

さらに、エサとしてトウモロコシを中心とした穀物が与えられることにも問題がある。本来、牛は優れた消化吸収システムを使って繊維質の多い草の強固な細胞膜を分解することができる。だが、現在牛のエサとして一般的なのは、穀物だ。狭い牛舎のなかで高栄養・高カロリーの穀物飼料を毎日与えられることで、乳牛の消化障害が多発し、薬剤が多用されているという。

■牛乳の「濃さ」が付加価値になっている現状
こうした飼育方法が一般化した背景は2つある。1つは、日本の酪農は戦後のアメリカの穀物戦略に組み込まれ、米国産の余剰穀物を利用することが普及したからだ。穀物を与え、効率よく牛を飼育するのには牛舎が適している。

もう1つに、牛乳の「濃さ」が付加価値となっている現状がある。市販の牛乳パックに書かれた「3.8」「3.7」という数字は、牛乳に含まれる乳脂肪分を示す。乳製品の表示法を定めた「乳等省令」においては、乳脂肪分3%以上、カルシウムやミネラルなど脂肪以外の固形分8%以上を含むものを「牛乳」と定義しているが、現在、乳脂肪分3.5%以下の牛乳は見掛けないはずだ(成分無調整牛乳の場合)。乳業メーカーが1980年代ごろから、牛乳の濃度の高さを競うようになったことに加え、農協などでは、1987年に酪農家から買い取る生乳の脂肪比率を3.5%以上とし、基準未満だと価格を引き下げることを決めたからだ。この乳脂肪分の高い牛乳の生産を可能にするのが、輸入穀物主体の配合飼料と牛舎飼いなのだ。

「そもそも、人間が一義的に必要とする食糧は穀物である。畜産業はもともと、気候風土が穀物の生産に適さない地域に発達した食糧調達のための産業だった」と中洞氏は言う。しかし、今の酪農は人間が食べることができるトウモロコシなどの穀物を牛に与え、牛乳や乳製品を作り出している。発展途上国で飢える子どもがたくさんいるなかで、人間の食糧となる穀物で酪農をすることはおかしいとも言う。しかも、牛乳や乳製品を摂取して得られるカロリーは穀物の7分の1しかない。これは「食料の迂回生産」であり、非効率的で続かないと、中洞氏は主張する。

こうして、牛本来の能力が無視され、青空の下を歩くことも許されず、ひたすら牛乳を生産するマシンと化した牛から作られる牛乳は、中洞氏いわく本来の牛乳ではないという。

なかほら牧場の酪農は、こうした従来の考え方とは一線を画す。牧場内では、約100頭の牛が自由に闊歩し、気の向くままに自生する草を食べ、夜も外で寝る。自然交配して人間の手を借りずに出産し、母牛が子牛を自分のお乳で育てる。とにかく自然任せが特徴だ。

山地酪農は国土の3分の2が森林で平地の少ない日本に適した酪農と中洞氏は主張する。荒れた山に牛を放てば、牛が草を食べて下草刈りの代わりとなり、森林の保全も容易となる。山地の名のとおり、牧場には草地ばかりでなく、山林も含まれる。

糞は牧場の至る所でするので、牛舎飼いだと面倒な糞尿処理もなく、そのまま山の肥料になる。牛は傾斜のある牧場を上り下りするため、足腰が強くなり、健康的だ。牛が踏み固めた土地には野シバが生え始め、それは牛のエサになるとともに地面に強く根を張り、保水力が高く美しい草地になっていく。

搾乳は朝夕の2度。どうやって牛を集めるのかというと、時間になれば搾乳場へ自ら牛が集まってくるという。搾乳時にはご褒美のエサがあるので、牛はそれを目当てにやってくるのだ。

■乳脂肪分3.5%以下でも、ご当地牛乳グランプリ
穀物を与えず草だけで育てると、草の水分が増える夏になれば3.5%以上の脂肪分を維持するのは難しいが、健康な牛から搾る牛乳は、脂肪分が3%そこそこでも十分においしいという。白黒模様のホルスタイン種よりもコクのある牛乳を出すジャージー種であることもさらにおいしさにつながる。

さらに、殺菌方法にも工夫がある。日本の大手乳業メーカーでは120〜150度で1〜3秒という「超高温瞬間殺菌」が主流。この手法は効率的ではあるが、タンパク質を変性させやすく、焦げ臭が生じる。一方ここでは65度で30分間の「低温殺菌」にこだわっているため、牛乳本来のさわやかな風味が残る。こうした過程を経たなかほら牧場の牛乳は、2013年の「ご当地牛乳グランプリ」で見事「最高金賞」に選ばれた。

もっとも、効率的な生産方法とはほど遠い。配合飼料を与えた牛と比べ、1頭あたりの搾乳量は4分の1ほどだ。草を食べ尽くされないようにするため、放牧頭数にも限りがある。また、牛舎飼いの場合、子牛が母牛のお乳を飲むのは出産後5日間ほどの初乳だけ(生まれてすぐに引き離され、人間が与える)で、あとは代用乳(粉ミルク)を与えるが、なかほら牧場の場合、子牛は外で母牛と暮らし、その乳で育つ。ここでは「お乳は子牛のもの。人間はそのお裾分けをいただく」という考えなのだ。

当然、牛乳の値段は吊り上がる。前述のとおり、なかほら牧場の牛乳は720mLで1100円(税別)と、市販の牛乳の8倍もの値がついている。この高い牛乳を、いったいどうやって売っているのだろうか。

中洞氏は、農協等との関係を断ち切って、自ら販路を模索する道を選んだ。そうして2005年にある投資家と手を組んだところ、あえなく失敗。牧場経営から手を引くことを考えるほどの窮地に陥った。

■設備や販売で支援受け、百貨店やネットで人気に
そんなときに支援を名乗り出たのが、広告・インターネットなどの情報通信サービスを手掛ける株式会社リンクの岡田元治社長だ。中洞氏の経営理念に共鳴した岡田社長は、リンクの資金で牧場に牛乳殺菌・製品製造プラントを建設し、牛乳だけでなく、飲むヨーグルトやプリン、ソフトクリームなどの乳製品も開発した。牧場のホームページを作り、山地酪農の魅力を訴えた。販売はリンクが担い、東京や名古屋の百貨店に専門店を出すとともに、自社サイトやアマゾン、楽天などのインターネット販売にも力を入れた。

こうして、牛乳生産のプロであっても流通や販売のノウハウや手段を持たない中洞氏と、広告などで人や企業をブランディングしてきた岡田氏が手を結んだことで、この高額商品は売り上げを伸ばしてきたのだ。

農協の枠組みから抜け出ることによって、生産方針を自由に選択でき、また、価格決定権も維持できるが、その分コストはかさむ。現在は、牧場から遠い東京や名古屋の百貨店や、インターネットによる通信販売で高級品として販売し、なんとかコストを吸収している。そのため、生産方法はエシカルでも、流通・販売方法はそうとはいえないだろう。

そうした中、中洞氏が目指すのは、山地酪農を実践する若手の育成だ。現在、牧場に併設されている研修棟には年間300人の実習生が訪れ、数日から数カ月かけて、山地酪農を体験している。こうした教育は少しずつ実を結び、なかほら牧場の卒業生が運営している牧場は、熊本・島根・栃木・ 岩手・北海道と全国に広がり、2018年の春は神奈川でも開牧予定だ。

こうして山地酪農の輪が広がることで、各地域でより安く、安全でおいしいエシカルな乳製品が手に入る「地産地消」の時代が来ることを願ってやまない。

posted by しっぽ@にゅうす at 05:00 | 動物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

家の中でペット飼うのは危険?世界で年間5万人が狂犬病で死亡、キスや一緒寝はNG行為

Business Journal

今回はペットからのヒトへの病気伝染のお話です。
 まず“常識君”の解説です。
「ペットからうつる病気は動物由来感染症ともいわれます。人類の歴史で猛威を振るった例はペストで、ネズミからうつる病気です。14世紀の流行では、4億5000万の世界人口のうち、1億人が死亡したともいわれています。また、犬からうつる病気で発症すると死亡率が100%といわれているのが、狂犬病です。日本で発症した狂犬病は、幸いにもこの60年間でありません。この間、数人が海外で感染して帰国後に死亡しています。
 日本は島国で感染症流入をコントロールしやすく、また狂犬病ワクチンを飼い犬に打つことが励行されているので、日本の犬にはまず狂犬病ウイルスはいません。つまり咬まれてもほぼ問題はありません。しかし、世界ではいまだに5万人近くが狂犬病で死亡しているともいわれ、中国では2015年には2600人近くが狂犬病で死亡しています。統計上の話ですから、実はそれ以上の可能性もあります。
 狂犬病は潜伏期が数週間から数カ月ともいわれており、狂犬病ウイルスを持つ動物に咬まれても、発症前にワクチンを打てば発症を免れることができます。海外では、とくに発展途上国では気軽に犬に触ることはやめましょう。さて、ほかにもたくさん犬からうつる病気、猫からうつる病気、鳥からうつる病気などがあります。詳細については、日本医師会が出している動物由来感染症ハンドブックが、読みやすく情報量が豊富です」
 そこで“極論君”のコメントです。
「ペストや狂犬病は日本ではまず起こらないと思っています。しかし犬ではパスツレラ症、レプトスピラ症、瓜実条虫症、エキノコックス症、猫では回虫症、Q熱、ネコひっかき病、トキソプラズマ症、鳥では鳥インフルエンザ、オウム病、クリプトコッカス症などが有名です。つまりペットは病気を伝搬することがあるので、僕はペットを飼うことに反対しているのです。リスクのあるものは遠ざけるのが、一番簡単で確実なリスク回避です」
感染症を防ぐ方法


 一方で“非常識君”のコメントです。
「命にかかわるペストや狂犬病がない日本では、僕は安心してペットを飼ってよいと思います。むしろ、ペットによる治療が心の病の病院でも行われていたり、老人介護施設でペットが認知症の進行防止にも一役買っているなどという報道も目にします。僕はペットは動物由来感染症を引き起こすリスクよりも、ストレス社会の昨今、とても役に立っていると思っています。また、ペットを家族同様に扱っている家庭も少なくないように思えます」
 極論君が非常識君に質問します。
「非常識君の家では、ペットとはどうやって接しているのですか?」

非常識君の回答です。
「わが家は犬を飼っています。室内で家族同様に飼っていますよ。一緒の布団で寝るし、ときには軽く口にキスしたりします。お風呂も一緒に入ることがありますよ。同じ食事は食べませんが、食器などは一緒に洗うこともあります」
 常識君のコメントです。
「非常識君の家ではペットの犬はほとんど家族の一員なんですね。ところで動物由来感染症を防ぐ一般的な意見は以下のようなものです。
・定期的に動物病院で検診を受ける
・ペットとキスをしない
・ペットに食べ物を自分の箸で食べさせたり、口移ししない
・ペットと人の食器を一緒に洗わない
・ペットに触ったり、糞の処理をしたら石けんで手を洗う
・ペットと一緒に寝たり、一緒にお風呂に入らない
・ペットの体はいつも清潔に保つ
・糞の始末はこまめに行う
 非常識君の家庭では、この基準を逸脱しているようですね」
人間のストレスを軽減する効果


 非常識君のコメントです。
「僕は少々不潔なほうが、健康になるという持論を持っています。デンマークの報告などでは、家畜を同じ屋根の下で飼っている子供はあきらかにアトピーの発生率が少ないという調査データがあるようです。ですから、そんな意味合いも含めて犬と一緒にベッドで寝ているのです」
 常識君のコメントです。
「医療には“絶対に正解”というものはありません。ペストや狂犬病が日本でも日常的に発生していれば、極論君のようにペットを飼わない、ペットから距離を置く家庭が当然増加することでしょう。また、ストレスがあって、ペットによってそんなストレスを和らげる効果があると思える人は当然ペットを飼うでしょう。大切なことは、利点と欠点をしっかり理解して、自分の判断で選ぶことです。そして迷えば、医師や獣医師に相談しましょう。いくら家族の一員といっても、ペットと一緒に寝たり、キスをしたりするのは行きすぎという意見も少なからずありますよ。教科書的には『友だちとしての距離』という表現が気に入っています。普通の友だちとは同じ布団に寝たり、キスしたりしないですよね。それが建前だと理解して、ペットとそれぞれの立ち位置でお付き合いしてくださいね」
 極端な意見もありましたが、実りあるお話しでした。
(文=新見正則/医学博士、医師)
●新見正則(にいみ・まさのり)
1959年生まれ
1985年 慶應義塾大学医学部卒業
1985年〜 慶應義塾大学医学部外科
1993〜1998年 英国オックスフォード大学医学部博士課程
1998年〜 帝京大学医学部外科に勤務
幅広い知識を持つ臨床医で、移植免疫学のサイエンティスト、そしてセカンドオピニオンのパイオニアで、モダン・カンポウやメディカルヨガの啓蒙者、趣味はトライアスロン。著書多数。なお、診察希望者は帝京大学医学部付属病院または公益財団法人愛世会愛誠病院で受診してください。大学病院は紹介状が必要です。



posted by しっぽ@にゅうす at 05:00 | 動物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする